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リーダーシップの「使い分け」
教員向けの研修会に参加をした際に、公立中学校の現役校長の方からお話を伺う機会があった。
この校長先生は学校経営をするにあたって、「サーバント・リーダーシップ」を発揮するように意識をしているそうだ。
この「サーバント・リーダーシップ」には、
・リーダーが教職員の意見に対して積極的に耳を傾ける
・そのうえで、組織の進むべき方向をリーダーが示す
・リーダーは教職員を日常的に支えながら、一人ひとりの可能性を引き出していく
という特徴がある。
己の立場を振りかざして指示や命令をする、いわゆる「トップダウン型」のリーダーシップとは対極にあり、教職員の主体性を大切にしながら学校のビジョンを達成していくという手法である。
この手法を実効性のあるものにするために、
「校長と教職員との間に信頼関係が築かれている必要がある」
ということは言うまでもないだろう。
・・・しかし、日常的には「サーバント型」のリーダーシップを発揮しているこの校長先生も、非常時には「トップダウン型」で対応をしているそうだ。
たしかに、犯罪や生命に関わるような重大な事案が発生した場合には、スピード感のある対応が求められるため、リーダーの迅速な判断が重要になる。
無論、そういった緊急事態であっても、可能なかぎり教職員の意見に耳を傾けるように努めるそうだ。けれども、最終的には「校長への一任」をしてもらうのだという。
こうした「校長への一任」に対して教職員が納得をしてくれるのは、日頃から校長と教職員の間に信頼関係が築かれているからだろう。
「日常的には『サーバント型』で教職員に権限を委ねるが、非常時には『トップダウン型』で対応する」
・・・この校長先生によるリーダーシップの「使い分け」から学ぶべきことは多いと思う。
ただし、「使い分け」といっても、
「日常的には『トップダウン型』だが、非常時には『サーバント型』で教職員に責任を委ねる」
という「使い分け」をする校長の場合は、きっと周囲から総スカンを食らってしまうことだろう。