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理不尽な要求への対応

「Yahoo!ニュース」で、ある大学生が新幹線の車内で体験したトラブルのことが取り上げられている。

 これによると、鉄道で旅行することが大好きな大学生Nさんは、8月中旬に東京から新大阪へ向かうため、東海道新幹線のぞみ号のグリーン車に乗車していた。
 すると、 高齢の男性がNさんに向かって「席を譲れ」と主張してきたのである。Nさんが「すいません、自分この席で間違いないので…。切符を見せていただいてもよろしいですか」と言うと、高齢男性は持っていた自由席券を見せたという。
「ここは指定席なので、自由席は前の方の号車ですよ」とNさんがいくら説明をしても、「そんなん知らねぇよ。席譲れ」と聞く耳を持たなかったそうだ。

 幸い、Nさんの周囲に座っていた乗客が3人ほど仲裁に入ってくれたことと、ちょうど車掌が通りかかったことで、事なきを得たそうだ。


 Nさんがこの顛末を自身のエックス(旧ツイッター)に投稿したところ、6万を超える「いいね」がつくほどの注目を集めた。閲覧したユーザーからは、驚きやNさんに対する同情のほか、「自分もあります。すごく不愉快でした」「おばあちゃんが退いてくれなかったことがある」など、似たような体験をしたという声も寄せられている。
 また、「自由席=自由に席を選べると勘違いしているのでは」「自由席という名称だと分かりにくい人がいるのかも」といった意見もあるという。

 Nさんにとっては不愉快な出来事だっただろうが、それでも高齢男性の「ごね得」にならずにすんだのには、次のような理由があると思われる。

・Nさんが毅然とした対応をした。
・周囲の乗客が冷静かつ客観的に仲裁をした。
・車掌が素早く対応をした。

 まず、Nさんの対応は冷静かつ的確だった。感情的にならず、それでいて自らの正当性をしっかりと主張している。相手の高圧的な態度に恐怖感もあっただろうが、よく頑張ったと言えよう。逆に言うと、Nさんのような対応ができずに、泣く泣く席を譲ってしまったというケースもあるのではないかと推測する。

 次に、周囲に座っていた乗客が間に入ってくれたこともNさんにとっては幸運だった。見て見ぬふりをされたり、「あなたは若いんだから譲ってあげたら?」などという無責任な提案をされたりしなかったのは不幸中の幸いだったと言えよう。

 そして、偶然とはいえ車掌が素早く対応してくれたこともNさんにとってはラッキーだった。当該の高齢男性が指定席や自由席のシステムを理解していたのか否かは不明だが、どれだけ丁寧に説明をしても理解してくれない人というのは存在する。そういうときは、平行線のまま「調停役」が到着するのを待つのが得策なのだ。


 教育委員会に勤務していたころには、どう考えても「理不尽」としか言いようがない要求を突きつけられることが何度かあった。当時の対応を振り返ってみると、今回の件にも共通するところが多い。

・事実に基づいて毅然とした対応をする。
・公正に仲裁をする。
・「平行線」のままであることを辞さない。

 これらは、理不尽な要求に対応する際の原則と呼べるのかもしれない。

 ダメなものはダメ。 
「ごね得」を許さない世の中でありたいものである。

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