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「それって、英語で言うと・・・」
今から15年以上前に、私が某公立小学校で副校長を務めていたときのことだ。
小学校の場合、子どもが学校にいる時間帯に職員室に残るのは、空き時間の教員を除くと事務職員などの「級外」と呼ばれる教職員たちである。
この方たちと良好な人間関係を築くことは、副校長にとって実に重要なことなのだ。
幸いにも、私が勤務していた学校の「級外」は人柄のよい方ばかりだったので、1年間の在職中に人間関係で苦労した記憶はない。
だが、一つだけ不満を言わせてもらえば、「笑いの感覚」が私とは異なっていた。
周りが、いわゆる「おやじギャグ」で楽しそうに笑っているのに、どうもこちらは笑えない。逆に、私がおもしろいと思ったことが相手にはなかなか伝わらない。
・・・それが最後まで続いていたように思う。たとえば、こんなことがあった。
「電気設備の点検で、業者の方が校内を回ります」
ある日、職員室に戻ると事務職員がそう伝えてくれた。
(そうか、電気のことで校内を人が歩き回るのか)
反射的に私は、
「それって、英語で言うと『エレクトリカル・パレード』ですね」
と呟いていた。
自分としては、そこそこの笑いがとれるという自信があった。が、職員室内からの反響はなかった。
今、思い返しても残念である。
・・・なぜ、15年以上も前のことを思い出したかというと、最近、似たような経験をしたからだ。
ある公共施設を利用した際に、その施設の代表者であるAさんがこんな愚痴をこぼしていた。ちなみに、Aさんと私は以前から面識がある。
「この間、ここの利用者が勝手にコンセントを使ってスマホの充電をしようとしていたから、『コンセントは個人的なことで使わないでください』って注意をしたんだ。そしたら、逆切れされたんだよ」
話によると、30代の男性だと思しきその利用者は、
「コンセントを使っちゃダメだなんて、どこにも書いてないだろう!」
と、Aさんに詰め寄ってきたのだという。
押し問答の末、その利用者にはお引き取りをいただいたということだが、Aさんにとっては後味の悪い経験だったに違いない。
(そうか、コンセントの利用について周知することが問題になったのか)
反射的に私は、
「それって、英語で言うと『インフォームド・コンセント』ですね」
と呟いていた。
自分としては、そこそこの笑いがとれるという自信があった。が、Aさんを含めた職員の方からの反響はなかった。
・・・今回について言うと、まずはAさんに対して労いの言葉をかけるべきだったと思う。そこは反省をしている。