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若者と政治

 通勤に使っているJRの車内で、私の近くに大学生と思しき3人組が立っていた。

「130万円か150万円になると・・・」
「店長が、『そうなったら、もっとシフトに入ってくれ』って・・・」
「でも、授業とかサークルが・・・」

 どうやら彼らの話題は、「特定扶養控除」に関することのようである。

 特定扶養控除は、19~22歳の子どもをもつ親などの税負担を軽減する仕組みである。所得税の場合だと、扶養する子がいる場合には、親の所得から63万円を差し引いて課税されることになっているのだ。

 ところが、子の年収が103万円を超えると扶養から外れて税負担が増えてしまう。いわゆる「働き損」になってしまう可能性があるのだ。

 そのため、主婦のパートタイム労働と同じように、学生の働き控えにつながる「103万円の壁」とされているのだ。

 しかし、自民、公明両党は今月11日、国民民主党との3党税制調査会長協議で、2026年から子の年収上限を130万円に引き上げることを提案した。

 これに対して国民民主党は、「配偶者特別控除」と同じように150万円への引き上げを主張し、時期についても2025年からの適用を求めている。

 先の衆院選で与党が大敗した一方で、「年収の壁」問題への対応を公約に掲げた国民民主党が躍進したことを受けて、今後の政局運営を睨みながらの調整が続いているのだ。

 ・・・現行の103万円を月額にすると、約8万6千円。これが130万円なら約10万8千円、150万円だと12万5千円だから、学生にとっては大きな違いである。

 だが、アルバイトに精を出しすぎれば学生生活への影響も出てくるだろう。彼らにとっては悩ましくも切実な問題なのである。


 若者たちの「政治離れ」が指摘されて久しい。けれども、「自分ごと」の問題であればしっかり関心をもつのである。

 今回の特定扶養控除の件が、一つのきっかけになるのかもしれない。

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