新任教頭へのアドバイス ~「今、話しかけるな!」というオーラを出してはいけない~
ここ数年の文部科学省の調査によると、新年度に着任する新任教頭(副校長)の数は全国で7千名前後になるそうだ。
今から16年前の4月、私も首都圏の公立小学校に新任の副校長として着任した(私が勤めていた自治体では、教頭のことを副校長と呼んでいる)。
以前、その出勤初日に経験したリアリティ・ショックについて、次のように書いたことがある。
新任の教頭にとって4月の上旬は鬼門だ。年度当初に作成して提出しなければならない書類が山のようにある。それに加えて、学校内外での会議や打ち合わせが立て込んでいるし、保護者、地域、役所、業者など、来校者への対応も多い。
ベテランの教頭でもこの時期は大変なのだから、不慣れな新任教頭であればなおさらだろう。
そんな新任教頭に一つだけアドバイスを贈りたい。それは職員室の中で、
「今、話しかけるな!」というオーラを出すな
ということである。
忙しいのはわかる。
1秒でも惜しいということもわかる。
だが、このオーラを放っていると、周囲にいる教職員は話しかけづらくなってしまうものだ。
どんなに忙しくても、どれだけ多くの仕事を抱えていても、ときどき書類やパソコンから目を離して、職員室の中を見回してみてほしい。
きっと、報告をしたがっている学年主任、困った様子の初任者、書類を提出したい非常勤講師などの姿が目に留まるはずだ。
そうしたら、ペンやマウスを置き、相手の目を見ながら話を聞いてほしい。
「今、話しかけるな!」というオーラを出さないようにすると集中が途切れ、それまでよりも仕事の効率は下がるかもしれない。
けれども、それによって得られるものは、けっして小さくないはずだ。
16年前、同じ立場だった者の自戒も込めて。