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えらい人

「将来、えらくなりたいとは思わない」
 と考える若者が増えているという。

 ・・・Goo辞書で検索すると、「えらい(偉い/豪い)」の項の先頭に載っている意味と用例は、次のとおりだ。 

普通よりもすぐれているさま。
1 社会的地位や身分などが高い。
 「会社のえらい人」

 責任が重くなることを回避したいという思いもあるのだろう。また、国会議員や首長、企業の経営者などによる不祥事が相次ぐ昨今である。若者たちが「ああいう人間にはなりたくない」と思ってしまっても仕方がないのかもしれない。

 しかし、この辞書の「えらい」の項には、2番目に次のような意味と用例が載っている。

2 人間として、りっぱですぐれている。
 「苦労しただけあって、えらい人だ」

 こういう「えらい人」のことであれば、「なりたくない」などとは言わないでほしいものだ。社会的地位とは関係なく、誰でも目指すことができる。いや、目指したたほうがいいことなのだ。

 確実にそうなれるとはかぎらないが、目指し続けていればそれに近づくことはできるだろう。


 ちなみに、「えらい」の意味として辞書にはこんなものも載っている。

物事の状態が普通ではないさま。
1 程度がはなはだしい。ひどい。

「えらい目にあった」
「えらいこっちゃ!」
 というときの「えらい」である。

 こういう「えらい」のとき、パッと頭に思い浮かぶ人の中には、残念ながら社会的地位の高い人間も含まれている。

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