学校ホームページを活用した情報発信(中)
(前回のつづき)
前回も紹介をしたように、国際大学の豊福晋平先生は、
「学校ホームページにとって大切なことは、『ベタな日常』の発信を続けること」
だと述べている。ちなみに「ベタな日常」とは、特別な取組ではなく「日常の学校生活の様子」という意味だ。
※『思いを届ける学校ホームページ』(株)プラネクサス発行より
しかし、「ベタな日常」に関しては、ともすると見過ごしてしまいがちである。そこで、前回紹介した「植物」「給食」「掲示物」以外にも、多面的・多角的に学校内の「ひと・もの・こと」を見つめる習慣がつき、それによる新たな発見もたくさんあった。
これは、ホームページに載せるか否かにかかわらず、新任の校長が勤務校についての理解を深めることにずいぶん役立ったと思う。
学校のホームページを閲覧するのは、概ね次のような人たちだろう。
閲覧者の中心は学校の保護者の方々だが、児童の中にもホームページをよく見ている子は少なくない。定期的な更新をしていると、学年の行事があった日などには、
「今日はきっと載っているだろう」
と、掲載されるのを期待して待っている保護者や児童も現れるようになった。学校のホームページには、児童と保護者に共通の話題を提供するという役割もあるのだ。
また、現役の保護者ばかりでなく、新入学や転入学を予定している子どもの保護者のなかにも、ホームページを通じて学校に関する情報を得ようとしている人たちがいる。実際に、
「転居先を探しているとき、いくつかの候補があったのですが、この学校のホームページを見たことが、今の家を選ぶ決め手になりました」
という話を何度か聞いた。
忘れてならないのは、勤務校の教職員たちも次第にホームページを定期的に見るようになったということだ。自分が担当する学年の行事などが紹介されることを期待するのは、子どもや保護者と同じなのである。
一方、教職員は自分が担当する学年や担当業務以外のことについては、案外知らないものだ。学校のホームページには、学校に関する情報を校内の教職員で共有するための「内部広報」の役割があることにも気付かされた。
さらに、教職員の家族のなかにも、学校のホームページのことを気にかけてくれる人たちがいた。特に、親元を離れて暮らしている若い教職員の親御さんのなかには、一日の終わりに「我が子」が働く学校のホームページを見るのが日課になっている方もいたようだ。
学校ホームページは、他にも卒業生や地域住民、教育委員会の関係者なども含めた様々なステークホルダーへの情報源となっていたのだ。(つづく)