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モデル校に必要な支援とは

 長野県教育委員会は、一人ひとりの子どもの特性に合わせた新たな学校づくりに取り組むため、新規にモデル事業を開始することになった。モデル校の名称は「ウェルビーイング実践校TOCO−TON」に決まり、今月3日からその募集が始まっている。

 全国的に不登校の児童生徒や教育的支援のニーズがある子どもたちが増えるなか、長野県では子ども一人ひとりの特性に合った学びの環境を整えるため、公立学校の改革を進めてきている。今回のモデル事業は、その改革をさらに前進させようとするものだ。

 この事業の検討会議に委員として参加していた島谷千春氏(石川県加賀市教育長)は、自身のFacebookのなかで同事業への期待について述べている。

 島谷氏のFacebookのなかでも紹介されているが、この事業のなかで注目をしたいのは、その内容とともに方法である。

 特に、県の伴走支援体制として、「学校改革支援センター(仮称)」の設置が盛り込まれている点だ。この構想は、次のような問題意識に基づいている。

・学校が全体で変わっていくためには、当該校への直接的な加配よりも伴走支援が鍵であり、学校改革を支援するため県教委や市町村教委も変革していく必要がある

• 取組を他校や他地域に拡大することを見据え、学校ではなく市町村教委等に職員を配置することが必要である

• 授業観や子ども観を変えるためには、研修や視察等への支援も必要である

 各自治体における従来のモデル校事業では、当該校に対して教員の加配などの直接的な支援が行われことが一般的だった。そのため、モデル校事業の実施期間が終了し、取組の中心的なメンバーが転勤等で去ってしまえば、それでお終いというケースも稀ではなかったのである。

 言い換えれば、
「モデル校のためのモデル校」
 になりがちだったのだ。

 しかし、この「学校改革支援センター(仮称)」の設置によって、県全体という視野に立った事業の遂行や好事例の横展開など、従来の「タコツボ型モデル校事業」の壁を打ち破ることが期待できるだろう。

 やはり、
「新しい酒は新しい革袋に盛れ」
 なのである。

 長野県教育委員会のこの取組に、今後も注目をしていきたい。

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