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スポーツの裏側

 知人のAさんは、あるマイナーなスポーツの競技団体で役員をしている。そのAさんから、こんな話を聞いたことがある。

 16チームの中で実力が9番目のチームがあったとする。
 全チームが参加するトーナメント戦で、そのチームを準優勝させることはそれほど難しくない。

 要するに、実力順に1番目から8番目までのチームをトーナメント表でそのチームとは「逆の山」に入れるのだ。そして、そのチームを含めた9番目以降のチームを「同じ山」にする。勝敗が実力どおりに決まるのであれば、たしかにこのチームは決勝まで勝ち進むだろう。

 無論、春夏に甲子園球場で行われる高校野球のように注目度が高い大会の場合、組み合わせの抽選は公開で行われるため、こうした作為的な組み合わせをすることは不可能だ。

 しかし、マイナーな競技や小さな大会などだと、組み合わせは公開で決めるのではなく、主催者による「責任抽選」というかたちを取る。そのため、その組み合わせが主催者の匙加減によって決まることもあるのだ。

 実際、Aさんが関わっている競技の場合には、全国各地のブロック予選を勝ち抜いた15チームと、それに開催地の1チームを加えた16チームでトーナメント戦を行う全国大会の場合にも、これに近いことが行われているらしい。

 参加するチームから疑問や不満は出ないのだろうか、と思ってしまう。

 しかし、それに対するAさんの答えはこうだ。
「各都道府県の役員の間では暗黙の了解になっていて、表立って文句を言う人はいない。いいことだとは思わないが、地元のチームが最終日まで勝ち残ったほうが、大会が盛り上がることは誰もがわかっている。それに、全国大会の開催地は各地の持ち回りだから、長い目で見れば公平なんだ」


 日本国内のマイナーな競技でもこうなのだ。国家の面子や莫大な利権がからむオリンピックであれば、水面下でどんなことが行われているのか想像すらできない。

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