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【続】「損して得とれ」

(前回のつづき)
 前回の記事では、こんな内容について書いた。

・家庭用のプリンターは、安価で販売する一方で交換用のインク代を高く設定し、長期間にわたって儲けるというビジネス・モデルになっている。

・こういう「損して得とれ」の仕組みは、労働者の賃金などにも応用されているのではないだろうか。

・たとえば、「初任給を○万円アップ」すると謳って若者を集め、その後の昇給を抑制したり、役職定年の制度を設けたりすることによって、従業員に支払うサラリーの総額としては現状維持や減額をすることも可能なのだ。

・最近、教員の「教職調整額」がアップされるということが話題になったが、そこにも一抹の胡散臭さを感じてしまう。 

 この記事を読んだ学生から、
「実際にどんな胡散臭さを感じるんですか?」
 という質問をされたので、ここで補足をしておきたい。

 たとえば、一部で「残業代」と報じられている「教職調整額」を増やしたとしても、昇給や賞与の額を抑えれば、教員への「支払い総額」としてはトントンか減額も可能なのである。

 また、今回の中教審答申の内容には、若手教員を支援するための職(東京都の主任教諭に相当する)を新設することも含まれているが、こうしたポストに就いた教員にはその分の手当を支給し、そのかわりに一般教諭の賃金はカットするという手法も考えられる。

 ・・・これまでにも、あえて正規の教員を採用せずに臨時任用教員で穴埋めをして、
「2人分の給料で3人雇う」
 という手法をとってきた「やりくり上手」な自治体があった。

 おそらく、「教職調整額」が増えたとしても、懐が痛まないような「秘策」を繰り出して「やりくり」をする自治体が出てくる可能性は高いと思われる。

 ・・・だから、やっぱり「胡散臭い」のである。気をつけないと「得して損する」になってしまうかもしれないのだから。

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