子どもの参画
今から数年前に、ある公立中学校の公開授業を参観したときのことだ。教科は国語だった。
物語文を題材にして、生徒たちが主体的に討論を進めていく授業のスタイルに、まず驚かされた。
しかし、それ以上に驚かされたのは、放課後に行われた研究協議会のときのことだ。その会には、先ほどまでの公開授業のクラスにいた生徒たちが、何人か参加していたのだった。
私たち参加者は数名ずつのグループに分かれ、そこに生徒たちが1名ずつ加わって協議が始まる。
「あの発言には、〇〇〇〇という意図がありました」
「正直に言えば、個人で検討する時間がもう少し必要だったと思います」
「次の時間には、〇〇について深めてみたいですね」
生徒たちは具体的に、そして堂々と授業について語っていた。
通常の場合、公開授業後の研究協議会に出席するのは「授業者」である教師だけだ。しかし、授業は教師と生徒が共につくるものである。そうであるならば、生徒も「授業者」なのだ。
当事者である生徒たちの生の声を聞くことによって、このときはいつも以上に多面的・多角的な協議をすることができたように思う。
今日(9月25日)、政府はこども家庭審議会を開き、「こども大綱」の策定に向けた中間整理案のとりまとめを行った。
「こども大綱」は、2023年4月に施行された「子ども基本法」を具体的に推進するためのものである。今回の中間整理案では、6つの基本方針が明示された。
中間整理案では、この基本方針を実現するために、子どもや若者が権利の主体であることを社会全体で共有することが必要だと示した。また、具体的な取組としては、児童虐待の防止対策、自殺対策、犯罪から子どもを守ることなどが掲げられている。
そして、国の政策の決定過程に子ども・若者の参画を促進することも必要だとしている。
子どもや若者が政策の決定過程に参画をする。
これを本気でやろうとするならば、冒頭で紹介した研究協議会のような取組を各種の分野、様々な場面で行うことが必要だろう。
もしも、大人がお膳立てをした「会議」や「座談会」でお茶を濁そうとするのであれば、「こども大綱」自体がお題目を並べただけで終わってしまう可能性がある。
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