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学校教育におけるXRやメタバースの活用(下)

(前回のつづき)
 横浜市内の各モデル校には、利用頻度が少なくなった「PC教室」などを転用して「メタバース教室」が設置され、今年度の下半期から本格的に活用される見通しだ。

【みなとみらい本町小学校】

横浜市教育委員会の資料より

 開校7年目を迎えた同校は、当初からSDGsなどに取り組んでおり、ユネスコ・スクールにも認定されている。

 モンゴルの学校との交流をはじめ、これまでの取組にXRやメタバースを加味することで、さらなる充実を図っていく見通しだ。

【西金沢学園】

横浜市教育委員会の資料より

 9年制の義務教育学校である同校では、中学校に相当する後期課程(7〜9年生)だけでなく、小学校に相当する前期課程の5・6年生でもXRやメタバースを活用する見通しである。

 オーストラリアにある姉妹校との交流は、これまでZoomなどを利用して行われていたが、そこにも新しいテクノロジーが役立つことだろう。


【東高等学校】

横浜市教育委員会の資料より

 このうち、Glocal Citizenship Campとは、高校生たちが数名ずつの小グループに分かれ、各グループに1名ずつ留学生が入って、英語でコミュニケーションを取りながら、世界的な課題の解決に向けて検討をしていくものだ。

 また、Premium Programとは、YMBL(横浜メディアビジネス総合研究所)と連携し、社会貢献活動を実践する企業や団体等を招いて、ESDやSDGsに対する理解を深めていく活動である。

 同校では、これまでに取り組んできた活動にXRやメタバースを組み合わせることで、活動の一層の充実を目指していることが伺える。

 ・・・3つのモデル校では、こうした当初の予定以外にも、教職員や児童生徒の発想を生かしながら様々な取組が行われていくことだろう


 XRやメタバースの活用にあたっては、次のような課題が予想される。

・コンテンツの充実
・メタバースについては、2D(俯瞰型)と3D(没入型)の使い分け
・ストレスの少ない利用環境
・オフラインでの利活用
・児童生徒の健康面への配慮
・複数の児童生徒がVRゴーグルを利用する場合の教員によるモニタリング

 そして、モデル校の取組を市全体に広げていくためには、予算の確保という壁が立ち塞がる。ちなみに、今回の「メタバース教室」の整備に要した予算は、3校合わせて約6千5百万円である。

 この額が「高い」と受け止められるのか、それとも妥当なものだと判断されるのかは、モデル校の今後の実践次第だと言えるだろう。

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