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「生中で!」
私は今少しだけ、ほんの少しだけ酔っ払っている。
酔っ払った時に文章を書く事にマイナスなイメージを持っている人もいるかもしれないが、私は今酔っ払っている。
緊急事態宣言の少しの期間を我慢して
久しぶりに飲みに行った。
と言っても1人で、行きつけの大好きな居酒屋へ!
「生で」
その言葉が言いたくて、別に好きでもない生中を頼んだ。
その時の気持ちが忘れられない。
気持ちがいい。届いた生中を飲み干す瞬間よりも気持ちが良かった!
大好きなつぶ貝と炙りしめ鯖を頼み、カウンターの隣に来るお客さんがどんな人かワクワクして待つ。
おそらく夫婦であろう男女が、久しぶりの飲み屋を噛み締めて楽しんでいる。
季節もの、桜海老と菜の花のかき揚げを頼んでいた。
久しぶりに飲みにいけた事、自粛を有意義にするためにさまざまな動画配信サービスを契約した事を大きな声で話している。
みんなそれぞれコロナと戦っていたのであろう。
お互いに酔いが回ると自然とカウンターのアクリル板越しに会話が弾む。
「若いのはいいねー」「これからだよ」「資格取るのがいいよ」
どうやらやっぱりそうらしい。
若いと言うことはいい事なのだ。
いろんな事に挑戦できる。
まだまだ未来があるらしい。
でも私は思う。
あなた方が味わった時代を味わいたかった。
幸せそうに、自慢げにみんな言う。
「あの時代は…」「もう遊び飽きた」と。
数十年後若い子たちに私は何を言えるだろうか。
胸を張って、自慢げに。
初対面の夫婦に私のお題を払ってもらい、
深深く頭を下げ
静かになったカウンターで1人考え込む。