レザーの仕上げ加工の種類とメンテナンス〜シューケア講習まとめ ❶〜
先日はシューケア講習参加いただいきありがとうございました。
だいたい楽しくできたようなのでよかったです。
今回、具体的にどういう作業でどういう感触かを体験してもらうという主旨だったので皆さんにも自分で手を動かしていただきました。
革、ブラシ、クリーム、ワックスの感覚を体感できたかと思います。
反面、作業をしながら色々と説明してしまったこともあり、
・内容は大半忘れてしまうだろうというのと
・毎回少しずつ違う話をしてしまったこと
もあるので、このまとめはその辺をカバーする内容にしてますので復習に見てみてください。
意外とたくさんお話していたようでそこそこの分量になってしまったので何回かにわけます。まずは第一弾です。
ポイントポイントだけ拾い読みしていただいてもいいと思います。
◉ シューケア講習という名目ではありましたが内容的には皮革製品全般に通用します
なぜかというと革のつくり方はどんなアイテムのどんな革でも基本おなじだからです。どんな皮でも
•前処理して
(毛や汚れコラーゲンなど取り除く)
•鞣して(なめして)
(アミノ酸を変化させて腐らない安定した状態にする)
•後処理して
(油脂などを浸透させて加工しやすい柔軟な状態にする)
という皮革製造の基本工程までは共通です。
この後の染色、仕上げ加工で色んな質感、見た目の革ができ上がりますが、使われるアイテムとはあんまり関係ありません。
『メンテの仕方はアイテム別というよりは革の染色方法、仕上げ方法、加工方法次第でかわります』
(シューズでも財布でもベルトでもおんなじような仕上げの革ならおんなじようにメンテできます)
◉ 今回みんなでやったのはスムースレザーで染料仕上げ用のメンテナンスです(見た目ツルっとしてる一番スタンダードなタイプの革)
(ドレス度の一番高い内羽根のキャップトゥは黒のスムースレザー)
例えば革の染色方法は主に染料染めと顔料染めがありますが、基本服と一緒で染料は繊維に浸透させていて、顔料は表面にくっついてる感じです。
顔料は革表面をおおってしまうのでクリームなんかは浸透しないか、すごく浸透し辛くなります。
今回皆さんとやったメンテナンスはスムースレザーの染料仕上げ(アニリン仕上げ含む)用です。素の革に染色してツヤだしだけしたような感じ。
ほぼ加工なしの定期的にメンテナンスしたほうがよい革です。
というよりは他の仕上げはだいたい表面に加工が入るので通常のメンテナンスはやり辛いです。
◉ 革の主な他の仕上げ、加工
=表面覆ってしまう系=
・顔料染め
(白い革は基本顔料、平滑で鮮やかな発色のものなども多い)
・ガラス
(合成樹脂吹き付けあるいは顔料塗装)
・エナメル
(ポリウレタン樹脂吹きつけ)
=表面になにかしら加工する系=
こちらは表面を覆うわけではないので比較的メンテはできますが表面の繊維の目は潰しがちにはなります
・型押し、エンボス、グレイン
(熱と圧力をかけて革に鉄板でいろんな種類の型を押す)
・グレージング
(ガラスの円柱やメノウで表面をゴシゴシこすってツルツルピカピカにする)
グレージングの機械、ガラス円柱で革をこすってます わかり辛い!
・シュリンク
(薬品で革を収縮させてシワやシボなどを表現する)
※さらにこれらを組み合わせて、顔料、樹脂でおおったうえに型押ししてしまう等も一般的に行われます“
・フェリージ のサフィアーノレザー(塩ビ樹脂の上に型押し)
・金や銀の革などは泊的なものをはっつけたり、メタリック顔料で色付け
こういった種類の革はクリームの浸透がし辛らかったり、浸透しない場合もあります。
=毛羽立たせる系=
・スエード
(革の裏側をブラッシングで毛羽立たせる、毛足長い)
・ヌバック
(革の表側⦅銀面⦆をけばだたせる、毛足短い)
こちらは表面を毛羽だたせているためにメンテのやり方もかわります
とりあえず、はしょりますがまた別ものとして考えてください
◉ 『お客様に革製品のメンテナンスをすすめる際はまず革がどういう仕上げ加工かを確認する』必要があります
が、あまり難しく考えなくても大丈夫です。
加工がたくさんしてある場合はなんにもしようがないというだけです。
仮になにかしてもあんまり影響ありません。
良く言えばメンテナンスフリー、悪く言うとなにもしようがない。
“表面加工革のメンテナンスは(スエード、ヌバック除く)
『汚れを落として、磨き上げる』“
だけで基本はokです。
皆さんに配ったガラスレザーのメンテを参考にしてください
=加工系の皮革メンテに使うもの=
・水
・柔らかい布
・馬毛ブラシ
・水性リムーバー
・栄養補給クリーム
(たまに補色で色つきクリーム)
というのを踏まえまして
まとめ❷では実際みんなでやったスムースレザーの染料仕上げのお手入れの復習です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?