ダブル仕上げの選択肢、事前にリスクを察知すること (洋服の修理を受ける際に気をつけること➓)
前回まででやっと上記4項目すべて説明しました。
こんな感じで修理を受ける際は確認していただくとして、当然でてくる疑問、
『事前に“できる・できない“の判断ができるわけじゃないなら、結局なんの役に立つのか?事前にリスクを察知するだけで何が変わるのか?』
上記の4項目を意識していたとしても、「実際に修理できるか?差し支えないか
?」は修理屋さんに預けて縫製をといてみないとわからなかったりします。
じゃ、意識してても結局、一度、預かるしかないから一緒じゃないか?
ある意味その通りだったりします。が、
実際面、もっとも大きなメリットは
「事前にお客様と相談ができるようになります。」
修理内容の結果は同じかもしれませんが、おそらく過程が圧倒的にスムーズに進みます。
その辺についてもう少し詳しく説明していきます。
画像①
何度も登場のこの画像、私物ジャケットです。
丈詰めた後のボタンホールの跡のこり袖口です。今も普通に着てます。
画像②
すごい短い裾スリット。私物パンツです。
おまけみたいなスリット。(この裏みると延長できそうな感じですが、、)
これはもちろん丈詰めした結果ですが、もともと9〜10cm程度のスリットで、
しかも前身と後身の丈の差(前短くて後ろ長いやつ)が4cmくらいつけてあるタイプでした。
ビフォア画像ないですが、残念ながら足の長さが足りずこうなりました。
でも、このパンツも全然使ってます。
①も②も4項目的にはクリアしてませんが、修理しちゃってますし、使ってます。
①も②も修理する時に修理屋さんと相談しました。
“跡残り“も“おまけスリット“もわかった上で修理してもらってます。
「修理すれば何かしら必ず変化する」と私自身は思ってるので、個人的に気にしてないからです。(スリットはいらなかった)
実はこれ、お客様でも同様です。
修理は原則、もとの形状通り、綺麗に、バランスよく上がってこなくてはいけません。
が、ちょっとデザイン、形状、バランス変わったり、跡残りがあってもお客様が
“O K“であれば大丈夫です。
4項目の2〜4はクリアできなくても絶対アウトではありません。
(1は大前提なので別)
それぞれのお客様の考え方次第だったり、程度問題だったり、あるいは修理対応した際に受けた印象だったりでOKになったりします。
さらに言うと、修理受けたあとから色々と問題が発生するのと事前に相談できてるのとではかなり印象が違います。
『後から問題点が発覚すれば想定外、事前に相談できてれば想定内』だからというのと『対応した販売員への信頼度がかわる』せいだと思います。
「事前に説明できている」それだけで大丈夫な場合も多々あります。
たまにある事例です。
まず「ダブルのパンツの丈だす」という時点で再現できません。(ダブルにはそんな余裕はない)なんですが現実的には対応してたりします。
ダブル幅4.5cmです。
内側ヘム4cmです。
ちなみに、“2、ニセダブル“というのはこういうつくりです。
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
1〜3ともダブルとしてはイレギュラーな仕上げになるものの
「つくり上と寸法上はどの方法でもでクリア」です。
「再現性はどれももとのダブル形状ではありませんが、一応、見た目ok」です。
「バランスはもともとこの内容なら気にしなくていい」でしょう。
実は問題は「綺麗にできるか」です。
すでに一度完成させてますから、折り目のプレス跡あります、もししばらく使っていたパンツなら必ずどこかしら汚れてます(日焼けしてるケースもあるあるです)。靴ずれテープついてますので外してつけ直しですからその跡も残る可能性あります。
こういうことも“丈詰め“なら大半隠れますが、“丈ダシ“はほぼ表側に出てきてしまいます。
これがもし、
であればどうでしょう。「つくり上、寸法上」は問題ありません。
再現厳しいから別の仕様にシフトチェンジパターンです。
上記のダブルの丈だしで心配される跡残りや汚れもほとんど内側に隠れそうです。
この感じで「“ダブルで丈だし“した時のリスクと対処方法、“シングルへの仕様変更“の提案」がもし事前にできてれば、実際の修理がどれがベストかは修理屋さんにだしてみないと分からなくても、お客様的にとっては安心感が違いますし、修理出しした後のやり取りもスムーズに進みます。
“この説明と提案はちょっとくどい“とか、“ここまでは事前には分からない“とかなら、「こういうリスクがありそうなので修理だししてから相談しますね」だけでも、だいぶ印象は違います。
危険なのは『何も分からず要望通り一旦受けてしまう』ことです。(後から問題が色々発覚して色んな条件の複雑な提案を電話でやることに、、ゾッとします)