二重コンプレックス 〜見方を変えたら滑稽だ〜
美人の基準
「美人」や「かわいい」と聞くと、どのような風貌を思い浮かべるでしょう。
肌が綺麗だったり鼻筋が整っている、色白など色々あると思いますが、色々なアンケートを見ると「目がぱっちりしていて二重」というのも必ず条件に入っています。
この記事を読まれている方のほとんどが日本人だと思うので、この認識は一般的と納得される方が多いのではないでしょうか。
私自身は辛うじて二重で、それほど目に大きなコンプレックスはなかったのですが、右目の方が小さいためもう少しパッチリしてたらな〜と思うことはありました。
周りではアイプチをしている友達も多かったです。
シールを二重の線に沿って貼ったり、先端が二股に別れているプラスチックの棒で糊付けした二重を押し上げて線をつけたり。
でもふと伏目がちになった時に、まぶただけ糊で引っ張られて引き攣った目元がちょっとホラーで、笑いながら指摘するなんてこともありました。
今の時代はインフルエンサーの影響なんかもあって、二重手術くらいなら軽いメンテナンス感覚の若い人も増えていそうですね。
日本の情報を主に見聞きしていると美の基準はほぼ統一されていて、自分の好みに関わらず一般的な美人、そうでもないという感覚には無意識に国民の共通認識があるように思います。
私もあまり深く考えたことなどなかったのですが、そんな風に思い至ったひとつのエピソードがあります。
インド人の女の子
昔アジア圏を一人旅していた時。
数時間かけてバスで移動していました。
炎天下の中、突然音を立ててバスが止まりました。
しばらくして運転手は悪びれる様子もなく、面倒くさそうに「修理にしばらくかかるからここで休憩」ということを言っています。
乗客はぞろぞろ降りますが、バスが突然故障して止まった道の途中。
特に見所もなくみんなその辺をウロウロしたり座り込んだりしています。
私も道の端っこに腰をおろしました。
その時、水色の民族衣装を着た細くてエキゾチックという言葉がぴったりな顔立ちの女の子と目があいました。
なんとなく笑顔で挨拶をして、私のそばにその子も座り込みました。
てっきり20代くらいかと思いましたが、16歳という年齢を聞いてびっくりしました。
聞くとインドからの家族旅行だと言います。
私はインド人の女の子と話すのは初めてでしたし、その子も日本人と話すのは初めてだと言います。
これも旅の一期一会だな〜と思いながら、他愛もない会話を楽しんでいました。
話しながら、その子の目が本当にクリクリで、どこを見ていてもすぐにわかってしまうくらいパッチリしていたので、思わずそのことを伝えました。
もちろん私としては褒めるつもりで言ったことです。
でも、それに対しての彼女の反応に、本当に驚きました。
私が彼女のパッチリお目目と、瞬きの度にバサバサ音がしそうなくらい長い睫毛がうらやましいと思ったのと同じく、彼女も私の控えめな(笑)目がうらやましいと言ったんです。
さすがに、「うそでしょ」と思いました。笑
私に対して気を遣っているんだろうなって。
でも、彼女の話を聞いていると本当にそう思っているのかも、、と思ってきました。
友達もみんなパッチリお目目だと言います。
だけどみんな、もう少し細くてクールな目元がよかったよね、と女子で集まるたびに話すんだそうです。
そう言われても、
「小さい目<大きい目」
と思い込んでいた私はなかなか彼女の価値観を受け入れることができませんでした。
ほどなくバスは回復し、その彼女とはそれきりでしたが、日本の中にいるだけじゃわからない価値観のひとつをその時学んだ気がしました。
多様な価値観
トランスジェンダーや年の差婚だったり、様々な価値観があるのが当たり前だよねとうたわれるようになった昨今ですが、やはり単一民族で島国である日本にはまだ自分たちも気づいていない無意識レベルの偏った価値観は存在しているように思います。
ニューヨークの地下鉄なんかに乗ると、髪や肌や目や服の色は様々で、コートを着ている人がいるかと思えばタンクトップの人がいたりもします。
いろんな香水や香辛料の香りを嗅いでいると、多様性の幅が広すぎて、化粧をしているアジア人女性とスッピンのアジア人女性の違いなんて違いとも感じないくらいです。
そう考えると、日本はある意味、みんなが同じ方向を向ける類い稀な国民なのかもしれません。
日本の中にいる限りどうしてもその中のマジョリティの価値観に傾倒しがちですが、自分の持っているコンプレックスが、人によっては羨ましいチャームポイントに映っているかもしれない、というお話でした!
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