★ラガー箚記(1)★李承信の復帰
日本代表のSO争いは、今季のリーグワンを見る限り、埼玉の松田、山沢がリードをしているように見える。
神戸の李承信は、それに資するプレーを見せていたけれど、怪我で離脱。チームはそれに合わせるかのように低迷。復帰戦となるサントリー戦は、チームにとっても、彼にとっても重要な一戦となった。
強い風と、不規則な雨の秩父宮。SOやFBのゲームメイクが大事になる。
サントリー有利の下馬評が、この不良馬場でその差が縮まり、接戦になる。
後半は神戸が風下になり、すぐに逆転され、8点差まで広げられる。
ここからの神戸がこの日は強かった。
風下を意識し、アタックはFWの近場を中心に、体を強く当てて小さなゲインを繰り返す。
SHからのファーストレシーバーには李がほとんどを占め、
大小のキック、小さな隙間を見つけてのラン、濡れるボールを丁寧にハンドリングをして捌く。
そのチョイスが正確で、神戸は、後半は風下を感じさせないポゼッションをとっていく。
FWにはランナーが不足していて、突破の破壊力という点では迫力がなく、なかなかトライの遠いところで、
さらには、スクラムが完全に劣勢だったり、雨風でラインアウトが安定しなかったりで、
決定的な場面までは至らないものの、
アタック力で勝るサントリーの攻撃を、後半はほとんどさせなかった。
チームというのは、一人の存在で大きく変わる。
特に、SOは、SHに次いで試合中にボールが回ってくる機会は多いポジションだ。
そして、試合をコントロールし、
かつ、攻撃のキーマンであり、ディフェンスではバックスでは最もFWに近いところにいる。
残り2試合。神戸が、李の復活でどう変わっていくのか。
それは、その姿こそが、李の進化と真価の問われるところになりそう。
特に、横浜に勝てるか。神戸は、この最終節が、プライドを賭けた試合になる。