★ラガー箚記(8)★リーグワンD1各チームの戦いぶりの総括 8位−5位
ここの4チームは、力的にはかなり接近しています。東芝が勝ち点的には上ですが、実質横一線か。上位とも接戦を演じることも多く、来季に向けても楽しいチームが多いです。
8位 静岡
個人的には、今年最も印象に残ったチーム。前半はクワッガ軍曹に率いられ、ほぼ日本人だけのFWで奮闘。ただ、中盤にかけて、バックス陣はどんどんと離脱者が増えて苦しい戦いに。そこに、中盤からアーリーエントリーでSOに家村が入り、彼がその後のチームを支えていきました。
とにかくセットプレーの安定感と強さがあり、献身的なディフェンスと、粘り強いフィットネスで、好ゲームを演出し続けました。
勝ち切れない、という印象がありますが、戦力的に見れば、そこまで持っていっている試合ぶりが素晴らしい、という方が大きいです。
印象的なのは、2節の埼玉戦でのサヨナラ負け、10節の横浜戦でのクワッガの奮闘、12節のリコー戦では15人が一人も変わらずに80分戦って勝ち、そしてクライマックスは15節の埼玉戦で、19点差をつけて埼玉の連勝を止めた試合などなど。
確実に力がついています。そしてその核になるのは家村でしょう。来季、どういうチームを作ってくるのか、楽しみです。
7位 リコー
出だしで相模原を攻め切れず、東芝にもいい試合をしながらこちらもスコアし切れずでしたが、以降は安定して強いアタックを見せ続けてくれました。特に、ルーカスを控えに下げ、10番堀米、15番マッガーンで試合を作れるようになり、後半にインパクトプレーヤーとしてルーカスを使う布陣がはまっていました。また、WTBのヴァカヤリア、NO8のヒューズなどの強いランナーも出てきて、アタックは上位と遜色なかったです。
ただ、とにかくペナルティが多くて、そこから試合を崩してしまうことが多かったです。リーグNO1のペナルティ数で、この辺りの規律の維持に対して、チームとしてどういうトレーニングをしていくのか、このあたりが来季に向けての課題です。この課題は、この2、3年続いているので、重くみたいところです。
あと、埼玉から来たCTBのパークス。彼の献身的な貢献も大事でした。バックスの核になっていたのは間違いないです。
6位 トヨタ
強大な戦力を持ち、今年こそ上位を!と期待されながら、2戦目の相模原に競り負けたのがケチのつき初めで、そこから、リコー、埼玉にもまけ、さらに東芝には63点という大量失点で大敗を喫し、上位戦線に向けては、序盤でリタイアという形になってしまいました。
アタックの強さはわかるのですが、ディフェンスに回った時に、モールでも意外とあっさりやられるし、抜かれた後のカバーディフェンスでの粘りがなく、チームとしての決め事や、献身性に疑問符がつく淡白な試合が目立ちました。
それが大きく変わったのが、10節のサントリー戦ですね。強いセットプレーとFWの強さを押し出してサントリーを圧倒。10節からが5勝2敗、負けた2試合も東芝と埼玉と、タッチの差。やはり最上位の力があるのだな、と感じました。
選手としては、デュトイの献身性が職人技である一方で、姫野はほとんど目立たないシーズンでした。バックスでは、SOとFBをかねたファルコンの来季に注目。ランが秀逸で、キックはロングに自在に蹴れる。ルルーとのダブル司令塔という感じでしたが、来季も残るならば、さらなる飛躍を期待したいです。
5位 東芝
プレーオフを横浜に奪われたわけですが、結局東芝は、1−4位のチームには1つも勝てていませんから、今年のチーム力は5−8位チームと同等だったということでしょう。去年に比べるとチーム力が落ちてしまっているのかな、と思います。
FWでは1列の若さ、2列の高さと若さの魅力的な陣容に対して、3列はリーチが頑張っていましたが、突破力やランナーとしての活躍度合いが少し物足りなかったです。徳永、トッドの次が出てこないと、リーチも歳ですし、他チームと比べてここが物足りないです。
バックスは松永が明らかにFBとして独り立ちしてきているのが収穫ですが、相変わらずタマニバルとナイカブラ頼みで、そこを操る司令塔については、中尾が結局ほとんど働けず、テイラーは安定していますが、チームを牽引する、というような内容でもなかったです。
来季はSO,CTBラインにモウンガがくるわけですが、どのように東芝にフィットするのか。あとは、第3列の層が厚くなり入れ替わっていかないと、なかなか今の戦い方ではさらなる上位、は難しいのかなと。