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【妄想ライオンズ その18】これが4番

野球における4番というのは、やはり特別なものだ。優勝のかかった大一番。金縛りにあったように打てないチームを窮地から救ったのは、その前の日に外野フェンスに激突し、頭を打って退場した4番だった。決して万全ではあるまいかれは、9回表1死から起死回生のホームランを放つ。

息を吹き返したホークスのリリーフ陣は鉄壁だ。150kmを超えるストレートに、縦横への変化球は大きく動き、緩急も使える。連投が続いているが、後3回を抑えれば引き分けでも優勝だ。疲れなど感じるわけもない。

11回。ホークスのマウンドに上がったのは、今季ライオンズに1点も許していない藤井。あまりにもおきな縦に割れるフォークは、終盤にもう一度千賀が出てきて、1回だけをフルスロットルで投げているように見える。しかし、そんな彼を3番のキャッチャーが、低い低いフォークを食らいついて掬い上げ、我らの4番につなぐ。

ライオンズの4番は、9月に入り大きな不振の山を迎え、それを乗り越えられないままここまできていた。監督は彼を庇ってきたが、本人は自分を庇うことはできなかったはずだ。ファンのたくさんの声も聞こえていたはずだ。そして何より、ホークスの4番のホームランを見ていたはずだ。

2ボール1ストライクからの4球目。彼はヒーローインタビューで、狙っていたかどうかについて「言いたくない」と言った。確実に、対藤井において何かのアプローチがあったはずだ。少し高めに浮いたフォークをすくい上げる。打った瞬間にそれとわかる豪快なサヨナラホームランが所沢の夜を大きく大きく揺らす。

胴上げを阻止する意地を見せ、ホークスの4番のつくったムードを、一撃で打ち砕き、ライオンズファンに最高の一夜をプレゼントする。さあCSへ。投手陣は確実にリリーフ陣が息を吹き返し、先発には3人の目処が立っている。そして、4番の作った最高の上げ潮に乗って、大阪かな?福岡かな?どっちでもいいさ、9月まで首位だったライオンズが、最高の状態で乗り込んでいく!


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