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【妄想ライオンズ 22】CS3戦目 主役は俺!どすこい劇弾!

ライオンズの1勝1分で迎えた3戦目。いうまでもなく、ここを勝った方がオリックスへの挑戦権を得る。

ラインズは終盤に安定したピッチングを見せた松本に、ホークスはライオンズに絶対的な強さを発揮する石川。スタジアムは序盤から異様な緊迫感に満ちていて、本来テンポの良い投球の二人だけれども、今日はどうしても1つ1つの投球が慎重になる。

先制をしたのはホークス。3回に今宮が「またも」の均衡を破る一発をレフトスタンドに叩き込む。松本は、この1球、カウントを不用意にとりに行ったスライダーを狙われる。ホークスが1点を先制すると松本のリズムが崩れる。グラシアルを歩かせ、甲斐にバントをされ、三村にツーベースを打たれ2点目を失う。

石川はいつもよりも球数が多いものの要所を抑え、6回途中まで0を重ねる。6回に源田、森を迎えるところで早くもホークスは甲斐野を投入。この2点を絶対に守り切るのだ、という姿勢を鮮明にする。

しかしこの継投が裏目に出る。源田にしぶとくレフト前に落とされると、森には粘られて四球を与えてしまい、二死ながら山川を迎える。球場がざわつく。藤本監督が審判に投手の交代を告げる。マウンドには復活した田中正義が向かう。泉は使いにくかった。どうしても脳裏に1週間前がよぎる。藤井には早すぎる。

対する山川はCS初戦でファオボールを1つ選んだ以外、ここまで11打席連続でヒットがない。完全にホークス投手陣に手球に取られている。緩いボールと、外角低めの変化球、そしてインコースには速い速球を見せ球にされ、いいように三振を積み重ねてきた。

しかし、今日は、彼は「言霊」を使っていた。試合前の円陣で彼が言ったのは

「今日は僕がホームランを打って勝ちます」

だった。

初球の緩いカーブに大きく空振りをする。同じような攻め方だ。緩急、高低を上手に使い、打たれてもクリーンヒット、というところ、歩かせてもしょうがない、という配球。ホームランにできるのは、コントロールミスか、上体を抉りにくるインコースの速球。これしかない。

彼は決めていた。インコースの直球は、どうしても投手心理で少しスピードが落ちる。たとえ少しボールでも、少し高めでも、それを狙い打てば、技術的にレフトスタンドまで持っていける。今シーズンは、何本かそういう、「普通ならば打ってもファール」というところをホームランにしてきた。

2球目、予想通りのボールがくる。インコース真ん中少したかめ、見送ればボール。このボールを頭に描いてきた。上手に肘をたたみ、気持ち力を抜いて、コンパクトに腰を当てる。腰にボールを乗せて回転させる。腕で運ぼうとするとファールになる。しかし、腰に乗せればフェアゾーンに行く。

いつもよりも低い弾道がレフトスタンドの最前列になんとか届く。レフトが必死にフェンスを登ろうとするも虚しい。逆転の3ランが福岡を喧騒の坩堝と化す。

ガッツポーズはない。淡々と、しかし、しっかりと目線を前に、ダイヤモンドを1周する。その目線は、確実に次のステージを見据えている。

6回からライオンズは継投に入る。まずは先発陣のエンスが6回に登場し驚かせる。久々の登板ということもありコントロールは定まらなかったが、球威は抜群。下位打線を牛耳る。7回は水上が吠え、8回は平良が淡々と締める。9回は増田が2つの四球を出すものの、なんとかデスパイネを仕留めゲームセット。

際どい熱戦が3つ。燃え上がる福岡から、ライオンズは、連覇の覇者を討つべく、東上する!

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