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リーグワン2025 前半戦を勝手に総括(1)リーグ全体像

2024−2025シーズンが5節まで終了。
埼玉が大方の予想通りの強さを示し独走状態にはいつつありますが、一方で、昨年の下位勢から、静岡が前半戦で大きく順位をジャンプアップ、さらにホンダが強力なFWの接点とディフェンスを改善させて上位と互角の戦いをしています。
さらに、サントリーがまさかの1勝であるとか、トヨタ、神戸が例年通り、もう一つ波に乗れないでいるなど。

そんな前半戦の各チームのカテゴリーごとの評価をまとめてみました。


評価の仕方は、各試合ごとに上記10項目を10段階(5点満点)で評価。「合計評価」が全項目の合計です。これを各チーム、前半5試合の「平均」したものがこちらの評価になります。

まずは、個別チームというよりも、リーグ全体像を考察してみたいと思います。


1)合計評価では埼玉が圧倒!

合計評価では埼玉が圧倒しています。特に接点とディフェンスの評価は他チームに比べて圧倒的で、盤石の序盤戦を演じております。怪我人も帰ってきてつつあり、選手層も分厚く、この先も大きく崩れることは考えにくいです。

クボタの評価も妥当かと。マークス不在時はどうしてもチームに「コア」が抜けてしまう感じですが、今回は長期不在にはならなさそうですし、FWの選手層の分厚さは埼玉以上でしょう。SOがフォーリー一本というのが不安ですので、まずは彼が怪我なく行くことがこの先もキーになるのでは。

東芝は正直、安定しない戦いに見えます。規律の悪さ、モウンガ、フリゼル頼みのチーム状況に、アタックは他チームからもだいぶ研究されているように見えます。また、東芝側のグループは、埼玉側の激戦状態と比べると、少し強度が落ちるように見えます。この先、交流戦で、東芝がどういう戦いを見せるか。場合によっては、3、4敗してしまうことはあり得るのではないかなと思っています。

サントリーは星は拾えていないですが、試合の中身は決して悪くはないです。ただ、この紙一重の差を、去年までのチームは「勝って」きた感があります。優勝から離れていることで、王者のメンタリティのようなものを感じなくなっているのも確か。監督も1年目。この先も試行錯誤が続くのでは。

この辺り、サントリーからホンダあたりはチーム力は横一線に見えます。その下の 浦安と相模原は少しラグビーは苦しいかという印象。特に相模原が、規律とスクラムがひどくて、強いアタックを持っているのに勿体無いです。。


2)FW周り

FWのカテゴリーで見ると、接点の攻防は、正直どこも強いと感じます。どこかが、対戦相手を「試合を通じて大きく上回る」というような試合は1つもなかったよう見えます。

それぐらい、どこのチームも、接点周りの攻防には力を入れているし、スティール、ドミネートなどは、どこのチームにも複数の役者がいて、試合中に必ず数回決めてくれます。

その中でも、接点周りは、埼玉の迫力、働きかけのスマートさ、そして役者の数と質、どれをとっても他チームとは違った力を見せています。 埼玉の一番の強さは、今年はここにあるように見えます。

ただ、どの試合も、接点周りの当たり合いの迫力は確実に増していて、東芝などは少し前期見えたこの分野での優位性は、かなり消えてしまっているように見えます。

一方で、セットプレーでは、スクラムは大きな差の出ている試合が多いです。
特に、静岡は、神戸、東芝との試合はスクラムで勝ったようなものですね。。お家芸と言っていい、素晴らしいスクラムを見せてくれて、スクラムだけでも楽しみます。

他方で、相模原はスクラムで苦労する試合が今年も多いです。 相模原は反則数も圧倒的に多くなっているのですが、スクラムからの反則も目立っています。

ラインアウトは攻撃の起点として、どこもしっかり準備をしていて、試合を通じて「ラインアウトがボロボロ」ということもあまりみなくなっています。


3)キック、ハンドリング、アンストラクチャー

テリトリーを分けるキッキングゲームについては、点数が全体的に低迷しており、正直リーグ全体の課題でしょう。日本代表の課題とも被ります。

ここをコントロールできているのは、チームとしての埼玉、クボタのフォーリー(当たり外れが大きいですが)、横浜の田村くらい。

若いSO陣は今季は押し並べてイマイチ。サントリーの高本、静岡の家村、神戸の李、リコーの中楠など、1つ1つのプレーを見れば輝いているものも多いですが、チーム全体を前に進める、勝たせる、そういうマネジメントができているかといえば、そうは見えないです。東芝もモウンガがいるといないでは、別なチームに見えるような状況ですね。

SOだけでなく、SHのキック力、そしてバックスリーのキック対応力も含め、ここはリーグ全体の課題だと感じます。

ハンドリングやアンストラクチャーの攻防も全体としてレベルアップが図れていない印象です。

惚れ惚れするハンドリングが、試合中あちこちで起こる、というような試合は記憶にないです。局面で、単発ではいくらでもあるけれど、試合全体となると、結局は、ハンドリングでのミスの方が目立ってしまう。 ここも日本全体の課題でしょう。

結果として、アンストラクチャーな場面のアタックも、埼玉、東芝はトライまで持っていくような場面も多いですが、全体として「続かない」という印象。
もちろん、こちらも、局面で見れば素晴らしいところはあるのですが、しつこいのですが、試合全体でそれは続かない。

結果として、スペクタルな、見るものを驚かすような試合は、あまり多くない印象です。

接点周りのレベルアップに比べると、この分野は全体的に低調な様子に見えます。


4)チームとしての戦略

アタック、ディフェンスの精度は、結局はチームとしての成熟度を表しますが、ここは、ホンダのディフェンスが大いに改善されているところが印象的です。

どうしても昨年は、大量失点、特に、ラインアタックでブレイクされた後に、一気にトライまで行かれてしまうことが目立ちました。 が、今シーズンは、そこが大いに改善。接点の強さも相まって、ディフェンスの改善がチーム状態を引っ張っているでしょう。

ディフェンスでは、神戸の奮闘も印象的です。星にはつながっていないですが、明らかに一人一人の献身性が昨年から向上しています。

アタック力、ディフェンス力は、つまりはチーム力。ここは、概ねチーム状態の上位から順に並んでいる印象です。

一方で、規律は、埼玉も含めて、全般的に褒められた状態ではないでしょう。

試合で10個を切るようなチームがとても少ないです。相模原などは、20個近い試合がいくつも。

ペナルティが多いと、結果として試合がぶつ切れになり、見る方も退屈です。プレータイムを増やす方向でもあるわけですから、全体として規律の改善が進んでいないことは、リーグとして憂慮すべきことではないかと感じます。

こうしてみると、リーグワンが抱えている課題と、日本代表が抱えている課題は、極めて似通っていますね。改めて感じます。

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