【妄想ライオンズ 122】もしも、古賀が1塁のままだったならば
何度目か、ファンでもよくわからない8連敗。
その連敗をストップすべく、隅田は、2回以降、毎回吠えていた。
ソフトバンクとライオンズのスターティングラインナップを見ると、
同じカテゴリーの野球チームとは思えないほどに差がある。
「強いチーム相手に投げてるんだと割り切った」
と言わすほど、チーム力に差がある中、隅田は粘り腰のピッチングを披露してくれた。
特に、要所で、チェンジアップで三振をとる姿は凛々しかった。
そんな隅田に援護点をプレゼントできたのは5回。
昼間が0−2から粘って見極めて四球を選ぶ。
その後の二人は用をなさなかったけれど、
9番の古賀がランエンドヒットを決めてランナーを進める。
外崎は、打撃は上向きだ。しかし、前の打席は、1死3塁で追加点をあげられなかった。
二死1−3塁。外野は長打に備えて心持ち深めの守備位置を敷く。
もしも、このままの状況であれば、外崎の一打は、センターの周東が軽くセンターフライにしていたはずだ。
しかし、2−2からの5球目のフォークはベース盤近くでワンバウンドして、キャッチャーの海野はなんとか前に弾く。ランナーは3塁だ。まず、その目は3塁ランナーを見る。その一瞬、1塁ランナーの古賀が、抜け目なく2塁を陥れる。
ここで、ランナーが2塁に行ったことで、ソフトバンクの外野は、2塁ランナーを帰さないという意思を示し、定位置より前に来る。
そして、次の6球目の高めのカットボールを、外崎は文字通り喰らいつく。そして、周東の頭を微かに超えて、2点を勝ち越す。
https://x.com/lions_official/status/1823672857936977996
打った瞬間は、センターフライかと思ったあたり。1球前ならば、超えなかった打球が、古賀の走塁で、1つの塁を貪欲に取りに行く姿勢が、チームの逆転打へつながった。
この試合の前半は、隅田の粘りに対して、ソフトバンクの守りの強さが目立っていた。3回のチャンスは、牧原と栗原の攻守で阻まれ、4回の3つのアウトは、いずれも野手のファインプレー。流れは確実にソフトバンクに向きつつあった。
その中でのこの3点は、本当にわずかな差から生まれた得点だった。その、わずかな勝負のあやをものに仕切ったライオンズ。隅田の力投と、7回から盤石の平良、ボー、アブレイユのリレーには、3点の差は十分なリードだった。
まだまだ、この勝利が、潮目の変わる勝利、とまではいかないと思う。けれど、たとえホークスが相手でも、必死に勝負の糸を手繰り寄せられる。当たり前だけれど、どちらも同じプロなのだ、と感じさせる試合だった。