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【妄想ライオンズ 116】もしも、ソトを敬遠していたら?

9回終了時点では、ロッテの吉井監督としては最悪の展開だったはずだ。

なんとかライオンズの武内から1点をもぎ取り、捕まり始めたメルセデスを打者二巡でさっと替え、6回から勝ちパターンの継投を注ぎ込んで逃げ切りを図る。
7回には下位打線がつながり2点目をとり、絶好の状況だった。

しかし、今年のラインズは違う。

8回の表、抜ければ1点というところで、金子がフェンスを恐れない劇的なファインプレーを見せる。
これでムードは変わった。
しかも、8回の裏の先頭は金子。
その金子が、沢村の低めの難しいボールをレフトへ運び出塁する。
源田が粘って繋ぎ、ノーアウト1、2塁で絶好調の岸。

岸は、指示通りの送りバントを綺麗に決める。
そして、外崎が、なんとかなんとか内野にゴロを転がして1点をもぎ取る。

たかが1点。されど1点。

この1点が、9回の劇弾を呼び込む。

スタジアムは完全にライオンズの劇場と化す。

本当は、この裏で決めたかった。最後の源田のあたりは悪くなかった。ただ、レフト正面だった。


吉井監督かすれば、勝ちパターンを四人つぎ込み、さらに代走、守備固めを注ぎ込みながら逃げ切りに失敗。
対するライオンズは、アブレイユ、甲斐野、本田などの勝ちパターンを残している。さらに、打撃陣は、負けていたわけで、レギュラーがほぼ残っている。
ロッテの打線には、打てそうなのは、ソトと、中村くらいしか見たらない。

完全にライオンズに分がある延長線のはずだった。


が、ロッテは勝負強い。
友杉は必死にボールに食らいつき、ラッキーなヒットをものにする。
岡のあたりは、外崎の正面へ。ゲッツーと思ったところ、名手がこのボールを弾いてしまう。
愛斗が必死にバントで繋ぐ。

ポテンヒットとエラーとバントで巡ってきたのが、ソト。
ロッテでただ一人の3割バッター。
次は、山口も上田も下がっていて、茶谷と和田。

1アウト2、3塁。1塁はあいている。

誰がどう見ても、ソトと勝負を避け、後ろの二人と勝負すべきところに見える。

しかし、松井監督の選択は、ソトとの勝負だった。
アブレイユの今日の出来は決して悪くなかった。本当ならば、運さえ悪くなければ、愛斗までで終わっていたかもしれない。

だけれど。
勝負は確率論がまず先ではないだろうか。

満塁になり、アブレイユが押し出しを出す確率と、ソトに外野に打球を運ばれる確率と、どう考えても前者の方が低いはずだ。


去年のライオンズなら、9回に追いつくような粘りはなかったかもしれない。けれど、阪神とかオリックスならば、こういう試合をしっかりひっくり返すように思う。強いチームというのはそういうものだろう。
ロッテは、攻守にライオンズに押されながら、「ここ」というところで、しっかりとランナーを返した。

いいスタートを切ったライオンズだけれど、残念ながら、野球にはまだまだ弱いと感じる一戦だった。


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