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また知り合いが闇堕ちしてる。

 Twitterでは今日もどこかで学級会が開かれ、どこぞのレディだかジェントルだか知らない人が灯油を被ってダイナマイトに火をつけている。

 毎度毎度こういうことに反応するのは疲れるし面倒で、下手するとスターを拾って無敵状態で爆走する人にひき逃げされるから、極力関わりたくないしサクッとブロックしようとする。

 知り合いだった。
 もっと正確に言えば、同じシェアードワールドで創作したり、何度かTRPGを共にし、おすすめの本や映画を教えあったことがある……知り合いだった。

 びっくりして芋ヨウカンを銀紙ごとかじってしまい、口の中に包装紙のゴミが入る。

 こういうのは対岸の火事だから気にせずブロックしたり無視できるわけで、知り合いが燃えているとなると、此岸の火事だからこっちまで延焼するかもしれない。

 火事が起こったら、慌てず騒がず避難の「さしすせそ」を守って行動するように、と学校で教わったからひとまず冷静になる。

 知り合いに非があるなら慰めて、非がなければ災難でしたねと肩を叩くかー。
 そう思いながら炎上中の知り合いのアカウントをタップしてみる。

 政治の話題で炎上していた。
 しかも筆禍失言の類、相手に暴言を吐いての炎上だった。

 私にインターネット消防士の資格もないから、消火に飛び込むにはリスクが大きすぎる。
 ドラマだったら燃え盛る家に飛び込んで救助に行くところだけど、政治の話題で暴言を吐いての炎上となると話は違う。

 お腹にダイナマイトを巻いてホワイトハウスに特攻したテロリストを助けにいくわけにもいかないし……。

 たしかに知り合いで、創作の友人とも言える人だったけど、最近は政治家だのインフルエンサーに引用RTで嚙みついていたから、できれば知らない人の振りをさせてください。

 もし仮に近隣住民としてインタビューされたなら、
「おとなしい人でした」「優しい人に見えました」
 と当たり障りがなく、かつ相手の暴力性を見抜けなかった海のリハクとしてヤフコメで罵倒されそうなコメントをひねり出して、さらなる延焼を防ぐしかない。

 実際は、ソシャゲのデイリー消化では刺激が足りなくて怒りに目を血走らせた人だったけれど。
 ポケモンアニメは「いつもいつでも本気で生きてる、こいつたちがいる」と仲間の大事さを歌ったけれども、まさか腹マイト自爆マンのことを歌ったわけじゃない。

「ヤンナルネ」

 Twitterでポカをやる前に知り合いのアカウントをブロックして、後のことはさっぱり忘れて洗濯物を干し、洗濯機がゴウンゴウン元気に回り狂っている間に本を読む。

 乳液を塗り忘れたことに気づき、ちょっと焦る。

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モーム・エンぺル@Vtuber
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