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ひのまるべんとう

たくちゃんの保育園では月に一度
お母さんお弁当の日があります
今日はその日です
たくちゃんがお弁当箱を開けると
白いご飯の上に真っ赤な梅干しがどーんと
置かれていました
それを見たかなえ先生が園長先生を呼んで来ました
園長先生はたくちゃんのおじいちゃんでした
かなえ先生がなにやら園長先生の耳元で話しました
園長先生は真っ赤な梅干しよりももっと真っ赤になって桃組さんの部屋から出て行きました
園長先生はお家に電話をしました
誰も出ません
園長先生はもっともっと真っ赤になって部屋の中をぐるぐるぐるぐる回っています
その頃 たくちゃんは
『先生  日の丸お弁当のなにがいけないの?』
かなえ先生はちょっと考えてから
『日の丸お弁当が悪いわけでは無いのよ
ただ  たくちゃんが大きくなるにはお魚やお肉それからお野菜をいっぱい食べる必要があるの  たくさんの食べ物から色々な栄養を取る必要があるの
骨を丈夫にしたり背を高くしたり  梅干しだけだと十分な栄養が取れ無いの   それにたくちゃんのお母さん  お仕事してないわよね  かなえ先生だったらこんな手抜きお弁当作ったりしないわね』
たくちゃんは言いました
『ママお仕事してるよ  赤ちゃんのお世話   毎晩グズる赤ちゃんにミルクあげて だっこして  オムツかえて  僕やパパのお世話におばあちゃんとおじいちゃんのお世話もしてるよ』
『おばあちゃんは病院に居るけど毎日お見舞いに行ってるよ』
『昨日 おばあちゃんの病院に僕とおばあちゃんで浸けた梅干しを持って行ったんだ  おばあちゃん 食欲が無いからありがたいねって言ってた  明日頂きますよって言ったんだ』
『みんなで一緒に食べれたら食欲も出るのにね』ってママが言ったから
『おばあちゃん  明日 僕お弁当の日なんだ
僕も一緒に梅干し食べるね  おばあちゃんと一緒に食べるね  だから早く元気になってねって言ったんだ』
『今日はおばあちゃんと一緒にご飯を食べるの』
そう言ったたくちゃんの言葉に
かなえ先生は慌てて園長室に行きました
園長先生はその話しを聞いて
またまた真っ赤になりました
電話がつながらなくてよかったとも思いました
園長先生はその日
『ゆかりさん今日からお風呂は私がはりますから』
ママは不思議な顔でおじいちゃんを見たけど
『ありがとうございます  助かります』
そう言って夕飯の支度を始めました
おじいちゃんはママの近くに入って
『ゆかりさん何か手伝う事は無いかな』
ママは不思議な顔でおじいちゃんを見たけど
『ありがとうございますではお箸を並べるて下さい』
そこにパパが帰って来ました
おじいちゃんの姿を見て
僕の耳元で
『どうした?  何があったんだ?  明日は嵐が来るぞ』だって
僕はパパにお話ししたかったけど
内緒にするんだ
だっておじいちゃんから
『たく今日の事はおじいちゃんとふたりだけの秘密だからな  男同士の約束  』って指切りしたからね

おしまい

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