『メキシコ旅行の途中で』[17] カルチャーショック
嫌な思いをしながらも、現地時間11時にロサンゼルスに到着した。
もう一度、昨日の6月24日に戻る。
ヨーロッパでは、入国手続きが簡単だが、ロサンゼルスは一番厳しい。
ツアー客でも、一人ずつ係官に質問される。
空手の大会に来た学生グループが、うろたえていた。
先に出てしまった先輩に向かって「先輩、待って下さい。一緒についてて下さい。」初めての入国手続きで、すっかり不安になって、数人固まっている学生たち。肉親でない限り、たったひとりで係官の前へ行かねばならない。
「何か聞かれたら、グループだと答えて下さい。」と言い残して、コンダクターの阿川さんも先に行ってしまった。山田さんと林さんと三人、一緒の列にいた。
「We are The Glup.って、言えばいいんだ。」と、口ずさみながらも、初めてのことだから、少し不安だ。三人一緒に並んでいても、通る時はひとりだ。
何の話をしているのか、聞こえないほど離れている。
5メートル以上あるだろうか、床に線が引いてある。少しでも出ると注意される。いよいよ私の番が来た。怖がっている学生たちのことを笑ってはいられない。
妙に緊張してあがってしまう。私だって、ロサンゼルスは初めてなのだ。
係官にパスポートと入国カードを出した。
“Hou long do you stay?” ガイドブック通りの言葉が返ってきた。
“Seven days.” “Purpose of entry?” “Sightseeing.” ドキドキしながら、たった二つの質問なのに、長く感じられる時間だった。やっと、終った。
無事、入国審査を通過。
ほっとする間もなく、荷物を受け取ると、今度は、税関検査係員が待っていた。
女性係員が、英語で問いかける。
税関申告書を見せて、ぽかんとしてると、今度は、日本語で問いかける。
「何か申告するものは、ありますか?」“No.”
「植物を持っていますか?」“No.”
係員が、日本語で質問しているのだから、日本人語で答えればいいのに、反射的に英語で答えていた。
ヨーロッパでは、税関は素通りするだけだったので、質問されるなんて、思ってもいなかった。質問の英語が解らなかった。聞きなれない単語だったからだ。
着いたとたんに、もうカルチャーショックである。
ヨーロッパでは、ガイドの説明など、英語は理解出来ていたのに、急にバカになったような気がしてきた。
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