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『メキシコ旅行の途中で』[16] マナー

日本の飛行機なのに何故、和食が出てこないのだろう。
外国へ行けば、嫌でも洋食を食べなければならない。
コリアンエアーでは、巻き寿司が出る。日本のものよりは味が落ちるにしても、何となく嬉しい。ちゃんと食べられる。
ほとんど残飯になってしまう機内食を見ていると、どこかの国では、飢えに苦しむ人々がいるのに、無意味な気がする。
外国へ旅して、日本の食べ物がいかに美味しいかと、つくづく思う。
日本では美味しい洋食も、本場で食べると比べ物にならないほど不味い。
日本食ブームさえ起こっている世の中なのに、何故、機内食を洋食にしなければならないのだろう。

飲み物を頼む時も不思議に思うことがある。水物だから、絶対こぼさないということはないはずだから、こぼした時のことを考えて、ワゴンに何か拭くものくらい用意すべきだと思う。旅のポイントをメモしたノートの上に水をこぼされた時、こぼしたスチワーデスがいなくなった。
私の乗ったことのある外国便では、すぐに拭いてくれた。
比べたくはないが、そうしてくれると思っていたスチワーデスが、何処かへ行ってしまった。仕方なく、ティッシュを出して自分で拭いた。
タオルを持って帰って来たスチワーデスの親切も、遅すぎて役に立たない。
もし、私がすぐに拭くものが取り出せなかったら、下の方まで染み込み、文字も滲んでしまったかも知れない。水だからよかったが、何となく不愉快だった。

朝になり、朝食が運ばれてきた時、今度は林さんが膝の上に、紅茶をこぼした。
ピンク色のキュロットは、早く水で洗わないとシミになる。
早く洗面所へ行かなければ行けないのに、スチワーデスは、「通路に出ないで下さい。」と冷たい。通してあげればいいのに、理由を言っても通してくれない。
言葉が通じる同じ日本人なのに、オモラシをしたような、シミの付いたキュロットを履いた20代の女性が、どんな気持ちになるのか、同じ女性として判ってもよさそうだ。
何人もの世話をただ事務的に処理しているだけだったら、日本人として、悲しい。スチワーデスも人の子である。マナーの悪い日本人を見すぎているせいだろうか。

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