栄養性の疾患
こんにちは、
ミナです。
ひと昔前とは違い、
今では動物の種類によって、
それぞれに合ったペットフードがあり、
栄養のバランスは昔に比べると
とても良くなってきました。
それでも色々と
気を付けなければならないこともあります。
そして、エネルギーの過不足により起こる
疾患も増えてきています。
エネルギーが過剰な場合ですが、
犬猫の肥満というのは、
標準体重の15%から20%以上の
体重となった状態を言います。
現在、家庭で飼われている犬の約3割、
猫では約4割が肥満であるといわれています。
でも食べ過ぎだけが
肥満の原因となるわけではありません。
様々な原因により消費カロリーの低下が生じます。
このような要因には、動物の内的な要因と
外的な要因があります。
特に犬猫における内的な要因としては、
ホルモン疾患と薬剤があります。
犬では副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)や
甲状腺機能低下症が主な原因となります。
症状としては、
多飲多尿や元気の低下などがみられます。
これらの疾患は
血液検査での発見が簡単に出来ます。
また、薬剤では、
皮膚病や免疫疾患の治療薬であるステロイド、
てんかんの治療に用いるフェノバルビタールなどの
抗けいれん薬が肥満を起こしやすいと知られています。
外的な要因としては、
加齢、散歩の時間などの日常の活動があげられます。
7才位の犬は若齢犬と比べて
約20%も身体の栄養要求量が減少するため、
若い時と同じ量の食事を与えていれば肥満になります。
人でも同じで、特に子供の頃に太り過ぎた人は、
正常な体重の人の5倍もの脂肪細胞を
持つと言われています。
このデータは犬や猫にも当てはまります。
作られてしまった細胞の数を減らすことは出来ないので、
この細胞内の脂肪を減らすことによってのみ、
体重を減らすことが出来ます。
人も動物も子供の時に太り過ぎないことが、
肥満の予防に重要であることが分かります。
他にも肥満の改善と予防のためには、
消費カロリーを増やすため
適切な方で運動をさせること、
必要以上のカロリーを与えないことの2点が重要です。
このため、犬や猫には
様々な運動方法が提案されています。
また、市販の減量食を与えたり、
獣医師の管理のもとで
療養食を与えるのもいいと思います。
また、最近の研究では、
避妊や去勢手術をすると、
消費カロリーが自然と減少するため、
肥満に繋がることが知られています。
肥満が原因となって
引き起こされる疾患も数多くあります。
高血圧、糖尿病、子宮内膜炎や蓄膿症、
慢性関節炎、気管虚脱など、
人と同じ疾患も多くみられます。
飼い主さんからみれば、最近太ってきたな、
くらいにしか見えないかもしれませんが、
動物の健康の為には、日頃の食事や運動の管理が、
とても重要になるのです。
栄養過多とは逆に、
栄養の不足によっても起こる疾患があります。
栄養失調とは、
日常の身体の栄養要求量を満たしていない状態です。
タンパク質と糖類、脂肪は三大栄養素ですが、
このいずれが不足していても栄養失調になります。
タンパク質が不足すると寝てばかりいたり、
消化能力が落ちて、感染症に対する抵抗力がなくなります。
もしこの状態が長期間続くと、血清タンパクが減少し、
浮腫や腹水が現れます。
脂肪が不足すると、
総カロリーの不足と必須脂肪酸の不足に繋がります。
必須脂肪酸の不足になると、
乾燥肌や被毛の状態が悪くなったり、
抜け毛になったりします。
成長期にこのような栄養失調を起こすと、
その動物はその後、十分な発育をすることが
出来なくなります。
これが発育障害と言われる状態です。
栄養失調は、バランスの取れた
市販のペットフードを食べている犬や猫には
あまりみられません。
多くのペットフードには、
必要量以上のタンパク質が含まれているからです。
栄養失調を起こすのは、
たいていは妊娠期間や授乳期に、
比較的安価なペットフードを与えた場合です。
また、猫は、
犬と比べて多量のタンパク質を必要とするため、
長期間にわたってドッグフードを与えてしまうと、
タンパク失調とタウリン不足を引き起こすそうです。
動物にみられる栄養失調は、
長期間の食欲不振から生じるものがもっとも一般的です。
動物はストレスを受けると、
一時的な食欲不振になりますが、
もし、短期間に極端な体重の減少があった場合には、
何か大きな病気かもしれないので、
動物病院を受診した方が良いと思います。
そして、沢山食べているのに痩せてしまう時は、
吸収不良や消化不良、代謝亢進を示す
様々な疾患を疑う必要があります。
また、人でも起こりますが、
「悪液質」と呼ばれる状態が、
痩せるのが続いた場合の最終段階で現れます。
これは、癌や糖尿病、心不全などの末期に生じるものです。
このような動物は、過剰代謝状態にあるため、
高カロリー食を与えていてもその状態は止まりません。
原因となる疾患の適切な診断と治療が必要となります。