ビタミンの不足により起こる疾患
こんにちは、
ミナです。
(ビタミンA欠乏症)
ビタミンAは成長期や妊娠期に必要であるだけでなく
皮膚の新陳代謝にとっても重要な栄養素です。
犬は植物中カロチンをビタミンAに変換できるため、
ビタミンAが不足することは滅多にありません。
しかし、猫は体内でビタミンAを作ることが出来ない為、
Aの少ない偏った食事を続けていると
欠乏症になる可能性があります。
ビタミンA欠乏の徴候として、夜盲症が起こったり、
フケが多くなりガサガサした皮膚になります。
とくにビタミンA欠乏が続く犬は、毛艶が悪くなり、
筋肉の減弱が起こります。
他にも繁殖障害、網膜変性、呼吸器粘膜、
唾液腺や子宮内膜の異常などがみられます。
猫は犬と異なり多量のビタミンAを
腎臓や肝臓に貯えることが出来るため、
良質なキャットフードを与えていれば
欠乏症は殆どみられません。
予防としては、犬も猫も、
市販のドッグフードやキャットフードを与えていれば、
ビタミンAが不足することはありません。
猫は犬の2倍量のビタミンAを必要としますが、
肉や魚に含まれるもので十分なので、
とくにサプリメントやレバーなどを与える必要はありません。
(ビタミンB1欠乏症)
ビタミンB1分解酵素であるチアミナーゼを含む食べ物を
多量に摂取した時に起こることがあります。
魚介類にはチアミナーゼが含まれている場合があります。
一般に、猫は犬に比べるとビタミンを多く必要とするため
ビタミン欠乏が起こりやすく、
調理されていない魚だけを与えられている猫は、
ビタミンB1欠乏症が起こる可能性があります。
一方犬では、ビタミンB1欠乏症が起こることは
非常に少ないようです。
なお、ビタミンB1は水様性ビタミンであるため、
過剰に摂取されても尿と一緒に排泄されるため
過剰症が起こることは殆どありません。
「猫がイカを食べると腰が抜ける」という話しを
聞いたことがある人もいると思いますが、
これは、チアミナーゼを含む魚介類を
多量に摂取したことによるビタミンB1欠乏の症状だといえます。
ビタミンB1は主に糖の代謝に関与しています。
欠乏すると脳における糖の代謝異常が起こることによる
運動失調、虚弱、抑うつなど様々な神経症状がみられます。
チアミナーゼは加熱処理を行えば簡単に失われます。
したがって予防としては、
生の魚介類を与えないようにすることです。
ペットフードを与えられている犬猫は、
他のビタミンと同様に欠乏が起こることは殆どありません。
(ビタミンD欠乏症)
栄養バランスの悪い食物を与えたり、慢性的な下痢が続くと、
ビタミンD欠乏症になることがあります。
ビタミンDが欠乏すると、
骨は血液からカルシウムを上手く吸収できなくなります。
成長期であれば骨の発育が遅れて変形し(クル病)、
また、成長した動物では
骨がもろくなってきます(骨軟化症)。
これにより、歩行異常、背湾姿勢、骨折、関節痛、
便秘などがもられます。
予防としては、ビタミンDと共に、
カルシウムをバランス良く摂取しましょう。
ビタミンDは、日光浴によっても、
動物の体内で合成することが出来ます。
したがって、普通の環境であれば、
犬も猫もビタミンDが不足することはまずないでしょう。
(ビタミンE欠乏症)
魚などに多く含まれる不飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、
その処理のためにビタミンEが消費され、その欠乏症になります。
ビタミンE欠乏症では抗酸化作用が低下し、
脂肪が黄色に変色し、脂肪組織に炎症を起こしてしまいます。
発熱や疼痛、場合によっては化膿を起こすこともあります。
これを黄色脂肪症といいます。
以前は魚を主食とする猫に多い病気でしたが、
キャットフードの普及とともに減少し、
近年では殆どみることがありません。
症状は、寝てばかりいる、抱っこを嫌がる、
発熱、食欲不振になり、腹部に結節が生じます。
また、繁殖障害や栄養性筋ジストロフィーなどもみられます。
ビタミンEを添加した食事療法が治療の基本ですが、
一般のペットフードを与えていれば
ビタミンEが不足することはありません。