私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか カーニズムとは何か
すんごく目を引くタイトルじゃない?
図書館の新刊コーナーで見つけて、迷わず借りてしまった一冊。
最近になってSDGsに関する取り組みがいろいろなところで行われるようになって、「ヴィーガン」という言葉も前より身近に感じるようになったなと体感的に思ってはいたけど、「カーニズム」はこの本で始めて聞く単語だった。
カーニズム=肉食主義
私は物心がつく前から当たり前のように鶏や豚や牛を食べていて、そのことになんの疑問も感じていなかったんだけど、お肉を食べないで生活している人に出会ったり、菜食主義の考え・生活スタイルを知ったり、動物たちを飼育するうえでかかる環境への負荷を考えたりしたら、自分自身もお肉を食べる機会を減らしたいなと思っていた気持ちが確固たるものになった。
この本のはじまりは、"もし友人に晩餐会へ招待されて振る舞われたシチューのお肉が「ゴールデンレトリバー」だったら?"というすさまじい問い。
"でも友人が今のは悪い冗談で、本当は牛肉だったと言われたら?"
…きつい。想像だけでもきつすぎる。
いやでも本当にそうなの。どうして同じ動物でも犬は食べる対象と捉えられないのに牛は美味しそうだと思うのか。
読み進める中で、食べられる動物がどのように"生産"されているのか
どんな環境で過ごして、どのように殺されるのか鮮明に書かれていて、いかに自分が知ろうとしてこなかったのか、それは目を背けたくなるようなことだとどこかでわかっていたからということもはっきりと突きつけられた。
本では、人が意識的に知ろうとしないようにしている原理についても解説されていて恐ろしく感じた。畜産業界って想像していた以上に規模が大きくていろんなしがらみがあるのだなと…
駆け足で読んでしまったけど、しっかり時間を作って読み直して、読書会を開いて話し合うことをしたい。する。
「グループディスカッションの手引き」のページで、各章に対してトピックを提示してくれているのでとてもやりやすそう。
最後に、この本の初版が10年前だったということに、本当に驚いた…
そんなにも前からこんなに深刻な状況だったなんて…
過去は変えられないけど、今を、未来を変えることはできるから、自分の選択で自分が、世界がよい方向になることを願って生活していくことが、最善の方法かなと思うんだよね。そうでも思わないとこの世のありとあらゆる絶望の多さに、やっていけない。