君が泣いてる夢を見たよ、僕は何もしてあげられず
title:「人間」銀杏BOYZより
中学の同級生からの年賀状に「私の中には中学生のあなたと今のあなたがいて人間は複雑に存在しているのだなと感じる」と書いていました。
とても面白い文章だと思い、気にいって書き留めておきました。
中学の友人は何人もいて、みんな大好きで卒業する時寂しくて寂しくて仕方がなかった。
当時これ以上の友達はどこへ行っても見つからないのだろうと思った。
中学校の思い出は嫌なことも多いけれど、他には代えがたいがたい思い出がたくさんある。
例えば、
美術室にあった木片で作った麻雀。
毎日読みふけったジャンプ。
すぐに止まる交換ノート。
誰まで回ったかわからない漫画たち。
放課後いつまでもしゃべり続けた曲がり角。
いつも家を通り過ぎる子。
平気で床に座り込んで並んで座った。
部活をサボって買い食いした団子。
転校する友人の見送りに行きたくて抜け出したホームルーム。
駅構内で全員で敬礼をして見送った。
私には当時すごくすごく憧れていた友人がいる。彼女とはもう、卒業してからずっとあっていないけれど、鮮明に顔は覚えている。いつも思い出せば、会いたいと感じる。
きっとあの頃憧れた彼女ではないけれど、会いたい。
今会って彼女に憧れないのか、憧れるのかもわからないけれど、あの頃の感情とは必ず違うのだろうな。
彼女の周りにはいつも人だかりができていた。
彼女は綺麗で美しかった。
とても優しくて自分に厳しかったので決して弱音をはかない人だった。
私は彼女が大好きだった。
私が彼女に適わないと思ったエピソードは、どうしても暗い思い出の中にあるのだけれど、いい機会なので今回それもまとめようと思う。
彼女と私との思い出の中にはどうしても黒いものがある。
彼女はある日事件を起こした。(詳細は必要がないので省きます。)
小さな町には少し、大きなことで。(いまだに私はそれを悪いとは思わないしもし悪いと言うのならそれは彼女ではなく社会だと思っている。)
どうしてあんなにも衝撃的だったのに、詳細を思い出せないのだろう。
いつ、誰から、どこで、どんなふうに聞いたのか覚えていないのだ。
覚えているのは、当時彼女の苦しみに気付けなかった自分の苦しみのやり場がなく、仕方なく自分を責めたことくらい。
もう二度と会えないわけではなかったので、それだけが救いだった。彼女が帰ってきてくれて私はまた楽しい学生生活を送ることができました。
いつも私たちに新しい文化を持ってきてくれるのは彼女だった。
彼女は少し痩せた気がした。そして半分ここにいないようだった。
ある夜、またいつものように私の母がたくさんお酒を飲んで暴れていたときのこと。
もう何がきっかけだったのか分からないけれど、母の怒りの矛先が彼女に向けられてしまった。
母は私が1番強く惹かれている存在に敏感だったと思う。
例によって母は彼女の家に電話し罵声を浴びせ彼女と彼女の母は私を心配して家まで訪ねて来た。
私はもうぐちゃぐちゃのドロドロでした。
それさえも惨めでどうしようもなくて、思わず母の胸ぐらをつかんだんです。
そしたら彼女の母が親に何があっても手を出してはいけないと言ったんです。
その時私と彼女の苦しみはそこにあるのだと思いました。
ぼんやりとした頭の中で、ぐちゃぐちゃの視界を見つめた。母は自分から電話をかけていたのにも関わらず、家庭内のことに口を出した事から怒り、盗聴していたと彼女たちを罵っていました。
私はもうただただやるせなさで、惨めで何も考えられなくなりました。
生きるということは、くるしい。
次の日私は学校に行きましたが、朝から涙が止まりませんでした。
後にも先にも1日中泣いていたのはあの日だけだと思います。
こんなにも辛いことがあるんだなぁと思いずっと泣いていました。私の様子心配して何人か家の事情を知らない友人が訪ねて来てくれたような気がしますが、それすら記憶にありません。
そして放課後彼女が1通の手紙をくれました。
その中には昨日の事は気にしていないことを私を励ますような言葉も書いていましたが、何よりも印象的だったのが、私が泣いていることによって周りの友達が心配しているからなぜ泣いているのかちゃんと説明しなさいと言う叱りでした。
私も傷つきおそらく彼女も傷ついている中で彼女はしっかりと周りを見ていました。私はいつだって自分の苦しみで精一杯だ。
しばらく私はそれをお守りのように大切にしていたんですが、また母に見つかっては怖いと目に焼き付けて捨てました。
いまだにその手紙の文面をよく思い出し、私は彼女に一生適わないとずっと思っています。
いつだって彼女に会いたいと思います。
ただあなたが嫌がるのではないかと連絡が取れません。
結局あなたを不快にさせてしまうことで自己嫌悪してしまうのが嫌なんでしょうね。私は。
私たちは過去の暗い部分を知ってしまっているから、今そんな過去のこと忘れ生きているのだとすれば必要ない関係だね。
それでも私はあなたに会いたいといつも思う私毎年年賀状が宛先不明で帰ってこないことに安心します。
いざとなったらいつでも会えると思っていたいのです。
いつかあなたが返事をくれたなら、会いに行ってもいいですか。