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2024ドラフト展望~大学生投手編~

今回は大学生投手について。
8名が1位指名された昨年と比較すると、例年並みの印象がある今年の大学生投手。

そんな市場ではありますが、今年の目玉に君臨するのが金丸夢斗(関大)
金丸はなんと通算防御率が0点台、さらに奪三振率の高さ、与四球率の低さを見ても圧倒的な成績を収めています。150キロを超すストレートに加えて、鋭く落ちるスプリット、チェンジアップのキレはプロのローテ投手クラス。カウント球のスライダー、カットも一定の基準を満たしていますし、昨年1位の武内(西武)や隅田(西武)、早川(楽天)等の過去のドラ1左腕と比較してもスペックは上ではないかと評されています。
春に痛めた腰の状態が懸念されていましたが、秋のリーグ戦ではリリーフ起用に回っているものの、無事に投げられていますし変に故障を警戒する必要はないと思います。中日も秋季リーグは金丸に密着マークの記事が出ていましたし、1位指名筆頭候補である事は間違いありません。

金丸と双璧の存在と言えるのが中村優斗(愛工大)。
最速159キロを記録するストレートに加えて、切れ味鋭いスライダー、スプリットで三振を奪う本格派右腕。身長が176cmと小柄な体格ではありますが、それを感じさせないくらい凄みのある投球を見せています。気になるのが、時折ポカが出る投球をしてしまうのか通算成績では負け越している所。ただ相手チームも研究していない訳がないので、ここは変に気にする必要はないのかなと。中日にとっては地元の大学の選手ですが、ここまでは今一つ中村への熱意は感じられません。金丸の指名を回避する場合は中村が次の候補になってくると思いますし、ここは最後まで注目していきたい所。

彼らに次いで1位指名候補と言われているのが、篠木健太郎(法政大)。
彼も下級生から活躍していて、早くから大学日本代表に選出される程の実力者。最速157キロのストレートにキレのいいスライダーとスプリットを持つ怪腕でスタミナも豊富なのも魅力の一つ。3年までは速球系のボールで押しまくる印象でしたが、4年春はスピードを抑えて制球重視の投球も出来る事をアピールしました。遅くてもハズレ1位で消える事は確実。中日もおそらく1位候補に挙げているはずで、争奪戦になる可能性もありそうですね。

他に上位候補と目されるのが、制球良く多彩な球種を投げ分ける坂口翔颯(国学院大)、綺麗なフォームから素晴らしいストレートとカットを投げ分ける寺西成騎(日体大)、変則フォームからキレの良いストレートにスライダー、チェンジアップを投げる佐藤柳之介(富士大)、昨年は1位候補に挙げられていた徳山一翔(環太平洋大)がいます。
坂口はストレートが球威不足に見える事、寺西は過去の故障歴、佐藤はフォームがプロの打者にどこまで通用するか、徳山は故障からの回復具合が懸念点ではありますが、4名とも上位に相応しい実力である事は間違いありません。個人的には故障知らずで、コンスタントに投げ続けている佐藤を推していますが、本番はどうなるでしょうか。

もう少し下の順位で先発型を獲りたいのであれば、安徳駿(富士大)林翔大(大経大)、岩崎峻典(東洋大)、左なら児玉悠紀(青山学院大)が挙がります。
今年のドラフトで中日が上位で先発投手を確保出来ない事態は避けたい所ではありますが、例えば1位で高校生投手、2位で野手を指名するというのは正直あり得るケース。その場合は早期に実戦投入可能な投手の確保が必要になると思うので、その場合だと制球の良い林、児玉は有力な指名候補になりそうですね。

中位以降で指名がありそうな右投手なら藤井優矢(東日本国際大)、浅利太門(明大)、廣池康志郎(東海大九州キャンパス)、長島幸佑(富士大)あたり
即実戦投入出来そうな投手が欲しいなら藤井、未知数だがポテンシャルを買うなら浅利、廣池、長島といった所でしょうか。特に廣池は無名ながら選手権で知名度を上げましたし、投げているボールは上位クラスの投手に迫るモノがあります。出来るだけ下位で指名したい投手ではありますが、密かに高評価を下している球団もあるかもしれません。
左投手なら吉鶴翔瑛(法政大)が候補。ガッチリした体格の左腕でキレの良いスライダー、チェンジアップを持っていて、制球も悪くありません。先発が出来ると判断されればもう少し上の順位で指名されてもおかしくない投手と見ています。

地元の東海地方の選手なら右の岩井天斗(名城大)、左の宮原駿介(東海大静岡キャンパス)がいます。この2人に関しては上位に推す人もいれば、下位指名という方もいて、正直評価が読みづらい印象です。
岩井は鋭いフォークが持ち味で先発も救援も出来そうなポテンシャルを持っている投手。愛工大の中村の影に隠れていますが、スペック自体は岩井も高い物を持っていると思います。宮原も地方大学の選手ではありますが、キレのあるスライダーで三振を奪う左腕。奪三振率も10を超えていて、リーグの成績も良いのですが、適正が救援向きと思われるからか、投球スタイルが中川(巨人)を彷彿とさせます。彼に関しては中川のドラフト指名順位が7位だった事を考慮すると案外下位にスリップする事もあるのかなと。

ここまで書いていきましたが、今年の大学生投手は金丸、中村以外は素材型が多いというか決め手に欠ける投手が多い印象です。当然高校生投手との比較にもなってくると思いますが、それでも魅力的な素材だと思う選手がいれば指名に踏み切ればいいし、そうでないなら見送ればいいと思います。

中日が大学生投手に求めたいのは即戦力の先発投手か即戦力の救援投手。
正直、今年の市場はニーズに合っていません。基本的な考えとしては大学生投手の誰かが獲れたらいいと考えるよりも、これはと思える選手を決めて獲るスタンスの方が今年は良いかもしれません。
と考えると、ニーズを満たせる存在の金丸、中村は確保したい逸材である事は間違いありません。2名とも競合する事は確実ですが、実際に指名する運びとなった場合はクジを当てられるように祈るだけですね。

次回は昨年と比較して豊作な大学生野手について書いていきます。