2024ドラフト展望~高校生野手編~
今回は高校生野手について。
まず上位指名が予想される野手をピックアップした後、ポジション別に候補を挙げていきたいと思います。金属バットの規格が変わった影響もあるのか、スラッガーよりも三拍子揃った遊撃手の候補が多い今年の高校生野手。
中日のニーズに合う選手は少なく、今年の市場で中日が高卒野手を上位で確保するのは基本的には避けた方が良いというのが私の考えです。
そういった中で唯一中日が1位指名していい高卒野手が石塚裕惺(花咲徳栄)。
1年秋から活躍していた選手で、打力は大学社会人を含めてもトップクラス。遊撃手としての守備力もある程度担保されている事に加え、木製バットも苦にしない対応力の高さも人気の理由なのかなと。正直1回目の入札から名前が呼ばれてもおかしくないレベルにまで人気が高くなった印象があります。中日は1位は投手を優先するため、基本的には縁はないと思いますが、もしハズレ1位で残っていた場合は入札に動いても良いと思わせるくらいの選手である事は間違いありません。
中日のニーズにフィットする野手なら森井翔太郎(桐朋)がいます。
高校野球では無名の進学校に所属する選手で、メインは遊撃手ですが、投手も兼務していて、身体能力の高さは折り紙つき。打球の弾道が高く、長打が期待できますし、左打者なので指名しやすい選手です。
但し森井はメジャー志向の高い選手。プロ志望届を出したのも米国球団との入団交渉を行う為というのが専らの理由。例え指名するとしても入団確約を取り付けないと指名しにくいのが正直な感想です。逆に言えば入団確約が取れるのであれば将来的なメジャー流出リスクはあるが、活躍は間違いないと確信できるのであれば指名していいと思います。
他には右のスラッガー宇野真仁朗(早実)も上位指名が狙えます。
執筆時点で進路を名言していないですが、指名候補として考えます。宇野は春までは三塁手でしたが、今夏は遊撃手に挑戦。夏の甲子園を見た限りは破綻のない動きを見せていました。高校通算60発を超える長打力に加えて低反発バットでも長打を連発しており、打撃は石塚と遜色ないレベル。石川昂との役割被りは気になりますが、どちらもコンバートが出来ますし、補強ポイントから外れている訳ではないので、指名を検討しても面白い存在かと思います。
他の上位候補だと強肩強打が光る高校ナンバーワン捕手の箱山遥人(健大高崎)、守備力の高さと思い切りのいい打撃が光る遊撃手の齋藤大翔(金沢)がいますが、彼らが残っている順位だと他の補強ポイントを優先するべきで基本的には縁がない選手でしょう。
捕手では父が元プロ、神奈川大会決勝でサイクル安打を放つなど話題性のある椎木卿五(横浜)、新興チームを引っ張った龍山暖(エナジック)がいますが即戦力捕手を求めている中日のニーズには合わない為、基本的に縁はないと見ています。
内野手は当初に記載した通り遊撃手の候補が目立ちます。
身体能力の高い颯佐心汰(中央学院)、進学希望から一転プロ志望届を提出した田中陽翔(健大高崎)、バットコントロールに優れる石見颯真(愛工大名電)、打撃が良い今坂幸暉(大阪学院大高)、投手も務めるなど、強肩が長所の岸本佑也(奈良大付)、能力は高そうだが打撃は修正が入りそうな中村奈一輝(宮崎商)、攻守にバランスの良い坂口優志(樟南)と多士済済のメンツが挙がります。
中日の二遊間は最年少が今年の大学4年生と同年齢の龍空になるので、高校生であれば若さを理由に指名する事は可能です。しかし、二遊間の人数が渋滞している事を考えると、二遊間で使うべき選手よりは将来的にコンバートが出来る選手がニーズには合うのかなと。
この中なら外野も兼務していた石見や打撃がアピールポイントの今坂が補強ポイントにはマッチします。両名とも左打者ですし、特に石見は地元選手。全く評価をしていないという事は考えにくいでしょう。
二遊間を守れる選手に拘るのであれば、颯佐、岸本、中村あたりが選出されそうですが、指名するとしても最後の方になるかと思います。
一、三塁だと寺井広大(神村学園伊賀)、谷村剛(和歌山東)、三井雄心(浦和学院)がいます。
寺井は一塁と外野を兼務していますが、プロでも外野が守れると判断するのであれば、捉えた時の打球は素晴らしいモノを持っていますし、一考の価値はあるのかなと。今年の候補で唯一と言っていい一塁のスラッガーですしね。
対して谷村、三井はサードを守れる選手ですが、打球が上がるタイプの打者ではない事を考えると、中日のニーズには合わないでしょう。
またポジションが定まらなかった関係で、ここでの記載になりますが森駿太(桐光学園)は気になる存在。昨年は遊撃手を守っていましたが、今春から三塁に回っていました。チーム事情で三塁に回ったという事ですが、186cmとプロで遊撃を守るには大柄な体格で、最終的にはコンバートの可能性は十分あり得るのかなと。ただ打撃は上位候補の野手と比較しても引けを取りませんし、成長した時にどうなるか楽しみな選手ではあります。
外野手ではニキータ(豊川)、正林輝大(神村学園)が有力な候補。
ニキータは低反発バットが導入された今春の選抜でもホームランを打っていて、パワーは折り紙つき。今年の市場なら人気になる存在だと思いますが、変化球に脆い部分もある彼は案外下位まで残っているかもしれません。上位で獲りに行くには割高感があるので、3位以降で狙いに行きたい存在ですね。
正林も選抜でホームランを打っていますが、ニキータと異なり、走力もあるスラッガー。近年の外野手の指名傾向を見ると正林の方がニキータよりも先に名前が呼ばれるかもしれません。今夏の甲子園は不調に終わりましたが、フォームは良いですし、他校からのマークもきつかったと思うので、変に懸念する必要はないかと。
また前回の記事で触れた柴田獅子(福岡大大濠)は野手としてみれば一塁を守っている事もあるのですが、ひとまず外野手として考えています。柴田は身長も高く、打球が挙がるスラッガー。育成に成功した場合のリターンはニキータ、正林よりも高そうですし、個人的にはポジションがどちらに転んでも中日の補強ポイントには合ってますし、他の高校生野手より優先してもいいと思ってます。
他には夏の甲子園で名を上げた藤原佑(大社)もいますが、俊足型の彼を指名する余裕はありません。やはり補強ポイントに合うニキータ、正林、柴田を優先してほしい所。
近年大学生野手の指名を優先してきた事もあり、今年は編成バランスを考慮して高校生野手を指名したい所。ただ冒頭に記載した通り、今年の市場だと中日のニーズからは外れている上に、上位指名だと割高感がある選手ばかりで高校生野手の指名は早くても3位からと見ています。高校生野手に関してはポジションどうこうよりは出来るだけ良い選手を獲得してもらいたい所。
今まで挙げてきた指名出来そうな候補を個人的に順位付けするなら下記のようになります。
柴田>森井>宇野>森>ニキータ>正林>寺井>石見>今坂
この中だと宇野までは上位指名でないと残っていないかもしれません。森井がメジャー志望、宇野も面白い存在ですが、ニーズに合う選手という事を考えると中日が指名出来るのは柴田だけ。後は残っている選手との兼ね合いになりますが、この中から1名獲れたら及第点と言えるでしょう。
次回は大学生投手について書いていきます。