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みんなの宝物
縄文時代の遺物を求めて各地を廻っていると、
「これはいったい何だろう⁈」と首を傾げたり驚いたりと、太古の昔の不思議にたくさん出会います。
これもその一つ、粘土で出来た「足」です。
だれの足?…と、思い浮べるのはバラバラになってしまった土偶。
が、これは土偶の足ではなく縄文土器の一部でなのです。
『口縁部に足型の付いた土器』
![](https://assets.st-note.com/img/1720753623439-OXAPEKpZGa.png?width=1200)
やないず縄文館(以下同様)
これらは今から約5000年前の縄文時代中期に福島県で作られた、土器の口縁部に付いていた「足」。
形といい、指の表現といい、それぞれが「足」そのものであるように感じられる造形です。
![](https://assets.st-note.com/img/1720753469866-GjPW2P3tDi.png?width=1200)
こちらは土器本体の一部分が残っています。
足は土器の口縁部に沿って横向きに付いていたようです。
![](https://assets.st-note.com/img/1720753870532-BBDOcNG4XI.png?width=1200)
同じ遺跡からは顔のついた「人面付土器」が出土しています。
この「顔」が付いている土器と同じように、「足」が付いた大型の土器がいくつもあったと推測できるようです。
右のパネルの写真は、「足」と「手」が向い合せに口縁部に付いた縄文土器。同じ福島県から出土しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1721118557104-tFzCa8aosC.png?width=1200)
土器に足や顔を付ける…
いったい何のために、このようなものが作られたのでしょうか。
これらの土器は、煮炊きをするためではなく、祭祀などで祈り道具として使われたと考えられるものです。
「子どもの誕生や成長」「豊饒」などを祈るための道具の一つとして、このような装飾のついた土器が作られたと推測されています。
そしてこのような「顔」の装飾のついた土器は、
「土器を母親の胎内と見立てた」と考えられています。
それには、あたかも「出産」を表現したかのような土器の存在があります。
この山梨県から出土した土器には2つの顔があります。
上部の顔が母親で、土器の中央部にあるのが子どもと見られ、生命の誕生や安産の祈りが込められていると考えられています。
![](https://assets.st-note.com/img/1720773853214-gbEO4DBtVW.jpg?width=1200)
北杜市考古資料館
このように土器に付けられた「顔」は母親、「足」あるいは「手」は生まれてくる子どもを表しているのかもしれません。
「足」の付いた土器が作られた数千年前から、子どもの誕生は未来への希望であり、何よりも尊いものとされてきました。
そして彼らが祈りを捧げ、生まれた命を大切に育んできたことが、今の私たちに繋がっているのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1721133538880-Gy278AnLIN.jpg?width=1200)
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