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【気になる土偶#110】台座に乗った土偶/伊勢堂岱縄文館

手に持つ、ひもで吊るす、立たせる…
土偶の使い方は様々に想像されていますが、この土偶は確実に立っていたと言えるようです。

今から約4000年前 縄文時代後期

丸い台座の上に立つ珍しい土偶です。
縄文人は土偶を立たせるために、立派な足を作ったり、花瓶のような円柱状の体を作ったりと様々な工夫をしてきましが、台座に乗せるという方法はあまり採用されていなかったようです。

小顔で背筋をピーンと伸ばし胸を張る姿は、人間のシルエットに似ているように思えます。

顔つきは、隣にいる土偶にそっくりです。
実は彼女らは遮光器土偶の祖先と考えられています。
控えめにデフォルメされた頭の尖がり、縁取られた両目や口の楕円形は、いずれもっと大胆な造形へと変化していきました。

この土偶は縄文人が不要になったものを捨てる「捨て場」から出土しました。「捨て場」とは単なるごみ捨て場とは違い、使い終わったものに感謝し、神に返すという意味があったと考えられています。

土偶は頭部と両腕、両脚の各部分が、それぞれ少し離れた場所から見つかりました。
祭祀などで大勢の人の前に立ち、その後は儀式の一環としてバラバラにされ土に埋められたと考えられるようです。

遺跡から地上へと蘇り再生された土偶は、今私たちの前に立っています。
予想だにしなかった運命に、何を思うのでしょうか。


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