今日会いに行きたい!気になる土偶#032岡谷美術考古館
FIFAワールドカップ2022
普段はJリーグの試合も見ない私ですが、ご多分に漏れずにわかサポーターとなって一喜一憂しています。
90分間休みなくピッチを駆け巡る選手たち、見ているだけで元気をもらいますよね。
実は数年前に友人に誘われて、ほんの遊びでフットサルを体験したことがあります。
フットサルの20m×40mサイズのピッチは、サッカーの半分以下。それでも5分も過ぎると走ることもままならず、ボールをからぶりしただけで終わったという情けない…思い出です。
それ以来、ピッチで常に激しく動き廻るサッカー選手にひたすら感服しています。
そんな躍動感ある選手たちを見て、
是非とも今日会いたいのは、動きを感じる土偶。
今にも動き出しそうな、と言うより、
〝動いているところ〟を表現しているように感じられます。
腕を前に伸ばして何かをしているような動き、
さらに顔の表情も、笑いながら何かを言っているように見えてきます。
長野県岡谷市の目切遺跡は、縄文時代早期~晩期までの遺物が出土した一万年以上続いた遺跡です。
この土偶が作られた縄文時代中期(約4,500年前)が全盛期で、発見された112軒の住居跡のうち79軒がこの時代のものであったそうです。
そして以前にも紹介した「壺を持つ妊婦土偶」も、同じ目切遺跡から出土した同時期に作られた土偶です。
「ポーズ土偶」と呼ばれる、あたかも人間がポーズをとっているような土偶の一種です。
壷を抱えて腰に手をあてたポーズは、人間の姿をそのままに表現したように思えますね。
そしてこのような「ポーズ土偶」にさらに動きを加えたのが、今日の土偶であるように感じます。
左の腕の肘を曲げて、大きく前に手を差し伸べています。
右手も同じような仕草をしていたのでしょうか。
まるで人間の動きを描写しているように思えます。
土偶の仕草は何を表しているのでしょうか。
ナニカを差し出しているような、
土偶自身がナニカを迎え入れているような…。
制作者はどんな意味をこめて、このような表現をしたのでしょうか。
こちらも同じ遺跡から発見された土偶です。
やはり腕や脚に動きのある表現がされているように見えます。
「ポーズ土偶」を生み出した遺跡では、より人間らしく、そして人を引き付ける新しい表現方法が生まれていたようにも思えます。
このような土偶がもっと見つかれば、新ジャンルの〇〇土偶が誕生するかもしれませんね。
「壺を持つ妊婦土偶」を紹介したのは、こちらの「三十三番土偶札所巡り」です。
なかなか進まない「土偶札所巡り」ですが、雪に閉ざされる前にもう少し巡りたいと思っています。
お読みいただき有難うございました。