今日会いに行きたい!気になる土偶#070神奈川県埋蔵文化財センター
わずか3㎝程でしょうか。
小さなカオは、縄文土器の上部についていた
人面(顔面)把手と呼ばれるもの。
土偶は単体の人形ですが、それが形を変えて土器に付いたものだと考えられています。
今から約5000年前の
「表裏人面把手」(深鉢:勝坂式)
縄文時代の竪穴住居跡が全部で200軒ほどの、この地域の拠点的な集落跡であった遺跡から発見されました。
そして「表裏」とあるように、このカオは1つの人面把手の「表と裏」の顔〟!
どちらが、表か裏か?
ハート形の顔はどちらもこの地域の特徴ある顔。
見つかっているのは顔部分だけで、どんな土器であったかは不明。
同時期の人面把手付土器参考にすると、
恐らくこんな感じの土器に、こんな感じで付いていたのではないでしょうか。
土器の形はバケツ形、これは縄文時代を通じて最も一般的にみられる「深鉢」。
煮炊きするために用いられたと思われています。
前述の名称で、『表裏人面把手』の「深鉢」の後ろには「勝坂式」と土器の形式名があります。
土器の形式名は、通常はその特徴を持った土器が最初に見つかった遺跡や、注目されるきっかけとなった遺跡の名前がつけられます。
「勝坂式」は、勝坂遺跡から出土した土器の特徴
を持っているということになります。
勝坂遺跡は大正時代に発見された、約5000年前頃の神奈川県の大集落遺跡です。
「勝坂式土器」は、様々な形や色々な文様、またそれが変化したもが多く、一言で特徴を言うのは難しいのですが…
敢えて言うとすると、参考にあげた土器を見てもわかるように、全体は分厚く重厚感たっぷり、一方で器面は細かい文様が施されているなど、「無骨の中の繊細さ」を感じるような土器です。
神奈川県、山梨~長野、 静岡県東部あたりを中心として分布していてます。
そしてこのような人面把手がついた土器は、ほぼこの「勝坂式の土器」なのです。
この地域の「独特の表現」であると言えるようです。
ただ人面把手の数は大変少なく、大きなムラで一つだけ作られたと推測されます。
お祭りなど特別な時に用いられた「特殊な土器」であったと考えられます。
その中でもさらに希少な「表裏人面把手」。
尚且つ、こんなに「小さい」ものは特に珍しいと思います。
「表と裏にカオが付いている」理由として、大勢が参加するマツリなどで、どこからも見えるように…などと考えられていますが、
この小さな「表裏人面把手」は、近くで見なければ判別できないカオです。
それでは何故、表裏にカオをつけたの?
何故、カオの表現が微妙に違うの?
小さな小さなカオからは、
次々と疑問が湧き出てきます。
*タイトルは〝土偶〟ですが、
このようなカオがついた土器や、土製品なども紹介しています。
最後までお読みくださり有難うございました☆彡