ここで会う、だからこそ広がる楽しみ in ヨコスカ
こんにちは、のんてりです。
紫陽花が花盛りですね。今年は一段と奇麗に見えるのは、自由にお出かけできる解放感もあってのことでしょうか?
雨降りの毎日に少々鬱陶しい思いをしながらも、相変わらず忙しく博物館や美術館巡りをしています。
そんな中〝やっぱりここで鑑賞するのがいいな!〟と思うことが。
それはアート作品を、その作者が生まれた土地や暮らした土地で鑑賞することです。
それを初めて感じたのは、もう何年も前のこと。
東京の展覧会で目にした縄文時代の土偶を、その土偶が出土した遺跡近くの博物館で再び鑑賞した時。
大昔のここに、今いるこの地にいた人が、この作品を作ったんだ!…と思った時、誰ともしれない作り手がとても身近に感じられて…。
そのように作者が全く知らない人でなくなった時、〝何を伝えようとしているのだろう?〟とか、〝彼(彼女)はこんな風に思っていたのかしら?〟と、次々と色々な気持ちが湧き出てきて、より深く鑑賞することが出来たように感じるのです。
旅行先でその郷土料理を味わったり、物産品を買い求めるのと、ちょっと似ているかもしれませんね。
単に〝名物だから〟〝特産だから〟というだけでなく、その土地を訪れたことで、その風土や人の温もりが、知らず知らずのうちに美味しさやそのものへの愛着に変わっていっているのかもしれません。
先日もそんな機会に恵まれました。
ここは三浦半島にある「横須賀美術館」。
東京からは車で約一時間ちょっと、東京湾を目の前に広々と気持ち良い景色が広がっています。
梅雨入り直前のこの日は快晴、
美術館の開館前に到着したので、お庭やたてものをゆっくりと散策します。
青空と穏やかな海、スタイリッシュな美術館はなんとも清々しい!
美術館の屋上からの眺め、遮るものが無い解放感!
海と美術館が一体となったような絶景ビューが広がっています。
屋上から内部へ螺旋階段で下っていくと、先ほどの屋上の下がこんな風になっているのを見ることができます。屋根裏を覗き見るみたいでなんだか楽しい!
奥には海が広がっています。
そして今日の目的「朝井閑右衛門展」。
朝井閑右衛門(1901~1983)は横須賀で20年程を暮らした画家で、ここ横須賀美術館がその作品の多くを所蔵しています。
常設展で何度か目にしたことのある作品は、とても一人のものとは思えないほど多彩。
画集から…
「丘の上」は500号を超える大きさの油絵、
獣のお面を被った人を中心に、何だか意味ありげに踊る人、演奏する人々…不思議さと少しの怪しさ、楽しさが隠れた〝混沌とした世の中〟を表しているよう。
「寒山拾得之図」はこんなにコミカルに!
彼の描く水墨画は、どれもゆるりとした楽しさに溢れています。
「街頭」はここ横須賀の街が写し出されている油絵。
横須賀は戦前から海軍の街、そして戦後はアメリカの海軍横須賀基地の街にもなりました。
制服姿の自衛官や米兵の姿は、今も街中で見られる風景です。
多彩な画風は、彼の人生そのもの。
墨で書かれた日記では、暮らしぶりや交友関係を見ることができます。
横須賀は海も山もある自然豊かな場所、
その一片では〝戦い〟に備えるという、どうしようもできない事実が公然と存在している街でもあります。
それを感じながら暮らしていた作者の気持ちは…?
そんなことを時折思いながら作品を鑑賞する、
分からない表現にも何かを感じる…今回もそんな思いがこみ上げてきます。
併設のレストランでは展覧会のコラボメニュー。
〝絵画をモチーフにした創作料理〟は、油絵「丘の上」の不思議な世界、その中に見える希望や楽しさを感じるような。
横須賀の海を眺めながら、
美しいお料理をいただく、
作者や作品に再び思い巡らせながらの至福のひと時。
この景色と空気と朝井閑右衛門さん、
〝また会いましょう!〟
参考資料
朝井閑右衛門展 画集
最後までお読みくださり有難うございました。