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今宵も小さな灯火で
大寒が過ぎ、柔らかな陽射しが降り注ぐこの頃ですが、縄文遺跡の多い東北や北陸の春はまだまだ遠いようです。
この時期に思い出されるのが、いつだったかのTV番組で、東北地方の雪に覆われた遺跡で行われた「竪穴式住居の室温」に関する実験です。
竪穴式住居で人が無理なく過ごせる室温(確か15度前後だったかと)を保つには、一日中炉の火を絶やさずにいる必要があるということでした。
縄文時代の東日本は落葉広葉樹が多かったことから、炉にくべるコナラなどの、煙が少なく火持ちの良い樹木に事欠くことはなかったと思われます。
それでも石斧で木材を伐採していたこの時代。雪に閉ざされる3~4カ月もの薪をストックするのは、どれだけ大変だったことでしょう。
炉の火は暖を取るだけでなく、食事作りや明かりとしてもなくてはならないもの。火種が燃え尽きないように、そして長時間もたせる工夫もしていたと思われます。
ところで、縄文土器に「手燭形土器」と呼ばれるものがあります。
持ち運びができる蝋燭立てに似ていることからこう呼ばれますが、実際にはどのように使われたか分からないものです。
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炉の燃料を考えると、このような小さな土器に僅かに火をともすこともあったのではないでしょうか。
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縄文時代に接着剤や塗装として利用したアスファルトは、燃料としても使われたかもしれませんね。
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この「手燭形土器」の様な用途の分からないものは、祭祀の道具では?と言われますが、いきなりこのような造形が生み出されるとは考えにくいようです。
ひょっとすると…長い冬の夜には、このような小さな手付の土器に何か燃えるものを入れ、僅かな灯りとほんのささやかな暖をとっていたのかもしれませんね。
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小さな炎の揺らぎにリラックスしながら、暖かな動物の毛皮に包まれれば、いつのまにか夢の中へ…。
今宵はどんな夢が見られるのでしょうか。
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