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気になる土偶#115:笑顔にほっこり/北上市教育委員会

可愛い人形に癒される…
縄文人もきっと同じだったのではないでしょうか。

今から約3000年前 縄文時代晩期

結髪けっぱつ土偶】
シンプルに結われた髪が美しい土偶です。
結髪けっぱつ土偶とは髪を結い上げたような頭部を持つ土偶で、縄文時代の終わり頃に北海道~東北地方で多く作られました。

盛り上がった髪に比べ、顔の造作は随分と平坦です。
この姿からは想像しにくいのですが、遮光器土偶の系譜を持っているとされています。
あの豊かな頭や遮光器のような目が、時代と共に徐々に簡素化されたと考えられています。

この土偶が出土した「九年橋遺跡」は、土偶が600点以上も出土した日本でも屈指の遺跡として知られています。

その膨大な数の土偶は100%壊されていました。
一般に土偶は「故意に壊された」という説がありますが、このように1つ残らず完成形を残していないところを見ると、この遺跡では「壊す」ことが不可欠であったと考えられるようです。

隣にある土偶も同じ遺跡から出土しました。髪型は少し違いますが同じような顔つきをしています。

同じ作り手による作品でしょうか。
皆の幸せを祈り、心をこめて土偶を作る…そんな優しく穏やかな作り手の姿が、そのまま土偶に写し出されているようです。

壊されることが分かっていて作られた笑顔の土偶。
この優しい微笑みに、何人もの縄文人が頬を緩めたことでしょうか。


*参考図書
・縄文土偶ガイドブック 三上徹也 新泉社
・慶應義塾大学学術情報リポジトリ 
 「土偶の大量出土について : 岩手県九年橋遺跡を例として」

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