今日会いに行きたい!気になる土偶#064千歳市埋蔵文化財センター
北海道唯一の国宝土偶「カックウ」
その優美な造形は男性or女性…分からない。
ところがここに、
確実に「性」を表している土偶が存在しています。
「男性土偶」
北海道千歳市から出土した今から約2300年前の土偶です。
土偶の殆どが「女性」を表していると言われている中、「男性」を表していると思われる土偶は、北海道や福島県で僅か数点が見つかっているにすぎません。
その中でもほぼ完成形をとどめ、一目で「男性」とわかる土偶です。
高さ14.5cm、ペタンとした板状の板状土偶。
左の頭と腕が失われ、長い胴に短い鍵状の脚、
その股には男性器。
ちょっと失礼!
こんな角度から覗いてみると、男性器にはちゃんと孔が開けられているのがわかります。
そして、この「男性土偶」にとても良く似ていると言われている土面が存在しています。
「男性土偶」が出土した遺跡からさほど遠くない、川の辺の「墓の上」から見つかった「土面」です。作られたのは土偶と同じく縄文時代晩期。
顔の表現はとても写実的。端正で彫りが深く、ちょっと受け口気味の顔立ちは縄文時代の「男性」がモデルだと言われています。
この土面は「墓の上」から発見されたことから、墓標に貼り付けられたものが、落下したと考えられています。
墓標ということは、この土面はどうやらここに眠っている「男性の顔」であるようです。
文字のない時代ならではの表現方法ですが、「土面を作る」という作業は今以上に大変であったはず。
亡くなった人たち皆の土面を作ったのでしょうか?
またはこの土面のように、男性の土面だけが作られたのでしょうか。
土偶も土面も「男性」
大半の土偶が「女性」を象ったものであり、そしてその多くは「妊娠した女性」を表しています。
当時の人々の一番の願いは「子どもの誕生や成長、命を繋ぐ」ことであり、その祈りの形が土偶に表されていると考えられています。
この北の大地では「海の海獣」が人々の重要なタンパク源であったことがわかっています。
それはクジラやイルカ、オットセイなどの海獣を採ることが「生きること」に繋がっていたことを意味しています。
その役割を男性が担っていたとすると、元気な男性がいることが皆の命をつなぐこと。その願いや祈りが「男性を象った土偶」に込められ、男性の死を悼みあの世に送るために「土面」が作られた、そんな風にも考えられるかもしれません。
果てしない大地の厳しい気候、
既に縄文時代には独自の文化が生まれていたようです。
お読みくださり有難うございます☆彡