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イヌが家族になるまで『動物と考古学』展 | 兵庫県立考古博物館
あなたはイヌ派?ネコ派?
今やイヌやネコはペットというより、大切な家族の一員となっていますね。
かれらが大陸から日本にやってきたのは、イヌが縄文時代、猫は弥生時代になってからと言われています。
現在開催中の『動物と考古学』展(兵庫県立考古博物館)では、人と関わった様々な動物たち、とりわけイヌとの関係を示す資料が多く展示されています。
縄文時代-大切なパートナー
イヌは古くから人間の大切なパートナーでした。
その主従関係は旧石器時代から。狩りを通じて育まれたと考えられています。
愛媛県の縄文時代の遺跡からは、約14000年前の埋葬された2体のイヌが発見されています。
また骨折したり、歯が抜け落ちたりしたイヌが、それらの傷が治癒した状態で埋葬されていた事例もあります。
これらのことから、狩猟のパートナーであり共に暮らす仲間として、とても大切にされていたことがわかります。
祈りの道具として「イヌ形の土製品」も多く作られました。この愛らし姿に縄文人の思いが表されているようです。
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弥生時代-一転して厄介者に
狩りのパートナーであったイヌですが、弥生時代になり稲作が行われるようになると、田畑を荒らす厄介者として扱われるようになりました。
当時の遺跡からは切断された犬の骨が見つかっていて、食料として扱われていたことがわかります。
大阪府八尾市ではイヌ全身骨格が発見され、それをもとに再現されたのが、サムネイルの弥生犬「海渡」です。
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奈良時代-ペットになった
奈良時代の貴族・長屋王の邸宅跡からは、イヌを描いた土器が見つかっています。垂れ耳で鼻筋が長く、西洋のイヌのようにも見えます。
さらに、イヌに関する「木簡」も発見されています。
「犬司」というイヌの世話係が設けられ、二人の子どもが担当していたようです。
イヌは、長屋王の子ども達のペットとして飼われていたと考えられています。
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平安時代-嫌われ、射られ
この頃になると野良犬の数が増えたこともあり、イヌはゴミや遺体を食べる「ケガレ」と考えられるようになりました。
イヌが遺体を食べる絵巻物もあり、イヌの噛み痕の残る骨も見つかっています。
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さらに「犬追物」という、馬に乗りイヌを追いかけて弓矢で射る競技もあり、傷ついたり死んだりするイヌも多かったようです。
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江戸時代-運命いろいろ
明石城武家屋敷からは、抗があけられたイヌの頭骨が見つかっています。武士の間でイヌが食べられていたことがわかります。
一方で当時の絵画には、円山応挙などによって可愛らしい子犬が多く描かれいることから、ペットとしての役割も多かったと考えられるようです。
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現在-再び幸せを手にした?
家の中で飼われる小型犬を、「座敷イヌ」と呼んでいたことを知っているでしょうか。
昭和の中頃まではイヌは外で飼われるのが当たり前で、番犬としての役割がありながらも、食事は飼い主のあまりもの、というのが一般的でした。
今は癒しを与えてくれる家族として、食事や健康に気を付け、病気になれば医療行為を受け一生をまっとうする…ある意味、縄文時代のイヌとの関係に近いようにも感じます。
一方では、無責任な飼い主に捨てられたイヌも後をたちません。
人との関係をもって、1万年以上。
紆余曲折あって、ようやく手に入れた安定した穏やかな立場。彼らにこれ以上の黒歴史はいりません。
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