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あの時言えなかったコトバ

Facebookでレコメンドされる友達に表示されるある子。

14歳の夏に喧嘩して以来、一言も話せないまま僕は24歳になっていた。

たまに駅周辺で見かけることはあってもついに声をかけることができなかった。

ええいままよ。僕は申請ボタンを押す。

「やっh」

「ヤッホー!元気してる?急に申請して、ごめんなさい。」

打ち間違え、ぎこちない文章。出だしは最悪だ。

「久しぶり!元気元気!申請きたの驚いたよ。操作ミスかと思った(笑)昔はごめんなさい。なんか、謝れなくてずっと引きずってたかも。」

僕は思わず、三度見した。

長く抱えていた心のわだかまりは、まるで初めからそこになかったように振る舞う。

「そうそう、俺もそこが気がかりでいて、謝んないとなぁって。高校も違っちゃったから、なかなか会う機会もなくてさ。」

「俺もごめんなさい。」

「いや、私の方が悪かったよ。ケガさせちゃったし、部活休ませちゃったしみたいだし…。怒っているだろうなって思って、声かけられなかった。本当にごめん。」

僕の些細ないたずらがきっかけで、喧嘩になり結果的に僕が軽傷を負ったのだ。

あまりにも幼すぎた僕らは、卒業を迎えても平行線をたどってしまった。

「全然(笑)。昔のことだから!俺もからかいすぎたと反省してます。ずっと仲直りしたいと思って気がかりだったんだけど、接点がなかなかなくて、きっかけ掴めなくてさ。」

僕はごめんねの一言が言えないまま、大人になってしまっていた。

ぎこちなくても、気まずくてもただ一言が解決してくれるはずだった。

「からかわれるのは結構嬉しかったんだけどね(笑)もう10年以上前だからねー。幼かったんだね!申請してくれてありがとね!謝れてすっきりした!」

お互いに謝りたかった。

でも、素直になれず気がつけば社会人だ。

「今、実家離れて東京で仕事してるんだけど、出張のついでに帰ることあるから、タイミング会えばご飯いこ!仲直り会させて(笑)」

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後日、ランチの約束を取り付け、待ち合わせ場所に向かう。

「あの時は、本当にごめん。」

開口一番に伝えた。僕はようやくこの言葉を直接言えた。10年かかった。

「私もごめん。」

僕はあの時言葉にできなかったモヤモヤした気持ちを伝えることにした。

「多分…。多分じゃないね。僕は君のことがに気になってた…。好きだったんだと思う。」

「ありがとう。」

少しうつむきながら、彼女は静かに言った。

数年後、Facebookのタイムラインに流れてきた結婚式の画像。彼女は相変わらず綺麗だった。

彼女の屈託の無い笑顔はあの日と変わらず、僕をドキドキさせるのだった。

素直になれなかったあの日にはもう戻れない。

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