忘備録 最近のドイツの製造業は
ドイツの製造業は、エネルギーコストの高騰や人件費の上昇、主要輸出先である中国経済の減速などにより深刻な打撃を受けています。 特に、エネルギー多消費型産業である化学や鉄鋼業界の生産量の減少が顕著で、製造業全体の空洞化リスクが高まっています。
この状況を打開するため、以下の対策が考えられます:
エネルギーコストの抑制:政府はエネルギー価格の上昇に対して減税などの電力価格抑制策を講じていますが、発電コスト自体の増加幅が大きく、政策効果が相殺されています。 再生可能エネルギーの導入促進やエネルギー効率の向上を図ることで、長期的なエネルギーコストの低減を目指す必要があります。
労働時間の柔軟化:ドイツでは、労働時間口座やフレックスタイム制度の導入が進んでおり、需要の変動に応じて労働時間を調整することで、雇用の維持と生産性の向上を図っています。 これらの制度をさらに拡充し、企業の柔軟な労働力運用を支援することが重要です。
内需の拡大:輸出依存度の高さが製造業のリスク要因となっているため、所得減税や公共投資の拡大を通じて個人消費やインフラ投資を促進し、内需の強化を図ることが求められます。
産業構造の転換:エネルギー集約型産業から、省エネルギー型や高付加価値型の産業への転換を促進し、競争力の強化を図ることが必要です。 これにより、エネルギーコストの影響を受けにくい産業基盤を構築できます。
これらの対策を総合的に実施することで、ドイツの製造業は現在の困難を乗り越え、持続可能な成長を実現できると期待されます。
ドイツの自動車産業は、EUのEV政策と、それに伴う急速な規制強化によって大きなダメージを受けています。
1. EV移行の急激な推進が産業に負担
EUは2035年までにガソリン・ディーゼル車の販売禁止を決定し、各国にEVシフトを強要。
しかし、消費者のEV需要は期待ほど伸びず、インフラ(充電設備など)の整備も遅れ、EV市場は供給過剰で価格競争に突入。
伝統的な内燃機関(エンジン)技術に強みを持つドイツメーカー(VW、BMW、Mercedesなど)は、大規模なリストラや生産縮小を迫られている。
2. 中国市場の競争激化
EUがEV移行を進める中、中国メーカー(BYD、Nio、Xpengなど)が圧倒的なコスト競争力で台頭。
欧州メーカーがEVの価格競争に適応できず、中国市場でのシェアを大きく失った。
VWは中国市場でのEV販売台数が目標を大幅に下回り、経営方針を再検討中。
3. エネルギー政策の失敗
脱原発+ロシア産ガス停止→電気代高騰→EV生産コスト増加。
EVは生産過程でガソリン車よりも多くの電力を消費するため、エネルギー価格の高騰がダイレクトにEV生産コストへ跳ね返った。
結果的に、EVの生産コストが上がり、競争力をさらに失う悪循環に。
4. EUの規制強化と自動車産業への圧力
CO₂排出規制が厳しすぎて、既存のガソリン車の生産が難しくなり、EV移行を強制される。
しかしEV市場の需要が弱いため、メーカーは投資の回収ができず、損失が拡大。
ドイツ政府も「規制が厳しすぎる」と反発を始めたが、EUの方針転換は容易ではない。
EUのEV政策がドイツ自動車産業を追い詰めた
EV移行のスピードが市場の実態と合わず、結果的に産業全体の競争力を低下させた。
中国EVメーカーの攻勢により、ドイツメーカーが主要市場でシェアを失い続けている。
エネルギー政策の失敗と規制の厳格化がダブルパンチとなり、EV生産のコスト競争力を大きく低下させた。
今後の展開として、まずはEUのEV政策の見直しが必須だということになると思います。