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人生はドラマではないが、シーンは急にくる。

くどうれいんさんの「うたうおばけ」を読みました。
どのお話も、自分のとなりでくどうさんがお話しを聞かせてくれているような、どこまでも瑞々しい文章で、あっという間に読み終えてしまいました。
そう感じるのは、やはりくどうさんの紡ぐ言葉が素敵で感性が豊かだからだと思います。

クロワッサンが好きになったミドリさんのエッセイがとても好きです。
まずミドリさんの素直さが羨ましくて眩しい。素直でいれること、真っ直ぐに捉えられることって、とても魅力だし才能だと思います。
そして、そんなミドリさんの良さを引き出せるのがくどうさんなんだろうなと。

「Sabotage」もよかったなあ。
このエッセイを読んで、自分の幼稚園の頃のズル休み?のことを思い出しました。
熱を出して1週間ほど幼稚園をお休みをしたことがありました。でも実際に熱が出ていたのは初めの1日だけ。あとの4日間は元気でした。
熱が出ていた初日、母親がお昼にマクドナルドを買ってきてくれました。それが嬉しくて嬉しくて。次の日も、その次の日もおねだりして、チーズバーガーを大事に大事に食べました。
ある夜、父親が母親に怒られていました。体調が悪くて幼稚園を休ませているのに、なぜファストフードを食べさせているのだと。
それでもその翌日、母親はマクドナルドを買ってきてくれました。
「お父さんには内緒ね。」少しイタズラな表情を見せた母親の顔が、今でも忘れられません。一緒に悪いことをしているようで、どことなく母親と心の距離が一層近づいた気がして。
今考えると、その時の母親は、今の自分と同じくらいの年齢です。どんな思いでマクドナルドを毎日買ってきてくれたんだろう。お父さんに少しの反抗心もあったのかなあ。
自分の中に色んな「思い出が沈澱している。」そんな思い出をうまく、やんわりと撹拌してくれたくどうさんに感謝です。

「人生はドラマではないが、シーンは急にくる。」
くどうさんが積み重ねる、人生でハッとしたシーンを自分も貯金のように大事に大事に貯めていきたいと思います。

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