Photo by manaty_note 朝の海で 前(ぜん) 2018年6月16日 00:43 朝の海で波の音をまちつづける彼女。やわらかい風が世界に生む小さい波。渚にちかづく、泣いている彼女。悲しいからではない、虚しいからだ。彼女の白いからだに穴がいくつも生まれて、そこを風がとおりすぎていく。いつからこんな虚しさを抱えているのだろう。波でぬれた砂浜をはだしで歩いていく。波にかき消されていく足跡と足音。世界でいちばん美しい方程式を書くあの数学者でも、答えはわからない。けれども、彼女がながす朝の涙は、ぼくの心をひどくしめつけた。それはたしかだった。 #詩 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #詩