センシティブ小説のかきかた
はじめに
古のオタクが脈々と語り継いできた言葉がひとつあります。
それは「読みたいならかきなさい」。
本来は「薄い本読みたいならあなたがまず出しなさい」なのですが、発表の場が多岐にわたり、二次創作も比較的読みやすくなった令和においてはこのくらいでちょうど良いのではないでしょうか。
それはさておき、私は自カプのえっちなお話が読みたいです。
読みたいので思いついたときには積極的に書いています。
ですがそれだけでは人様の書いたえっちなお話が読めません。
なので、ここに簡単なセンシティブ小説のレシピを置いてみることにしました。
「塩ひとつまみってどれくらいよ!?」となりかねないレシピにすぎませんが、お母さんから聞いた冷蔵庫の中にあるものを甘辛く炒めた何かの作り方、みたいなものだと思って御覧ください。
お母さんの数だけセンシティブの味がありますので、それもお忘れなきよう。では、まいりましょう!
①用意するもの
・参考文献
・パッションあるいは希望
まず参考文献ですが、こちらおすすめしたいのは二冊。
『官能小説用語表現辞典 ちくま文庫』
『てにをは辞典』(分厚いし高いので、出来たらでいいです)
官能小説用語〜はフランス書院などの男性向けR18小説から引用された用語が大多数を占めるので、正直なところ萎えるワードも沢山出てくるのですが、センシティブを書いていると「人体の表現わからん!」となりがちなので、イメージを手軽に掴むにはうってつけです。
また、載っている用語に萎えたら萎えたで「どうしてそう感じたのか」を考えると、自分なりのセンシティブの方向性が掴めることもあると思います。
他にも女性向けAVや、本屋さんで売っている「失楽天」など男性向け女性作家さんの多い成人向け漫画雑誌、成人女性向け漫画・小説の流れや表現も参考になるかと。
次にパッションと希望ですが、
・推しカプのこんな姿を見たい!(ちょっとした表情からプレイまで)
・受けのこんな姿を見たら、こんなことを言われたら攻めは嬉しいんじゃない!?
・攻めにこんなこと言われたりされたら受けはぐずぐずになっちゃうんじゃない!?
といったように、あなたがワクワクするワンシーンが浮かべばこっちのものです。ここを軸に書いてみましょう。
②センシティブの「序破急」
お話の作り方として「起承転結」または「序破急」があるのは有名な話ですが、センシティブにおいては主に後者の方で流れを決めるとハードルが低くなると思います。
「序破急」ならぬ「導入・本番・ピロートーク」です。
身も蓋もない言い方ですみません。
それぞれいくつか、ここを考えておくと書きやすいというポイントがありますのでご紹介します。
「導入」
・場所・時間・服装
どこで、何時くらいに?
を決めておくと、真っ暗で見られないことに安心しながら攻めの姿をその体温で探す受けなのか、間接照明で互いを照らされたなかなのか、朝の日差しのもとに何もかもさらされた中なのかetc…がはっきりします。
また、服装はかっちり着込んでいるのか元から生まれたままの姿なのか、でもこの後の脱がし方、脱ぎ方が変わってくるので、ぼんやりでも構いませんから決めてしまいましょう。
・視点
攻めと受け、どちらの視点なのか明確にすると書きやすいです。
両方書く神視点も良いですが(時々混ざってしまってもあまり難なく伝わるのが二次創作の良さ)書いている方が大変になってしまうと思うので、どちらかに定めたほうがベター。
「本番」
少しずつ、段々と追い詰めて(追い詰められて)、そして一緒に達するorちょっと時間差で達する、が大まかな流れ。
体位、攻めと受けがだいたい何回達するのか、途中で変えるのならどんな体位に変えるか、いちゃ甘かシリアスか
をここまでに決めておくと、後が楽です。
とにかく動かすのみ。また、身体の動きも大事ですが、身体と共に心もまる裸にされるのがセンシティブの醍醐味です(個人の意見です)
心の動き、台詞、喘ぎ声もお忘れなく。
服の脱がせ方は優しく脱がしますか? 余裕無いかんじですか?
受けが脱がそうとするのも良いですね?
褥でしか言えないことばを相手の耳だけに囁きませんか? 追い詰められてようやく言っても良いですね。
あっ喘ぐのは受けだけで良いんですか? 気持ちいいよね攻め?
……と、睦み合っているお部屋の天井の壁になったつもりで、
あなたの中のふたりと語り合いながら綴って下さい。その光景はあなたにしか見えていないんです。綴って共有して下さいお願いします。
「ピロートーク」
会話か気持ちで〆る
と、どんな流れでもきれいにまとまります。
あなたは推しカプに何を語らせたいですか?
繋がって満たされた後、どんな触れ合いをすると思いますか?
それをぶつけてください。
ですが、もしもそこまで書く気力が続かなければ、二人が達したところでブツっと切ってしまってもなんとかなるのが二次創作の良さです(個人の暴論です)
楽に構えて書いてみましょう。
③2000字から書ける! センシティブ
そう、センシティブは楽に書いて良いんです。
2000字でだって書けちゃいます。
書いたことないよ! という方にオススメな一番てっとり早い書き方は、
・既に挿入している状態から書く
これにつきます。
繋がっているところからなら、どこで、どんな体位で、が明確になりやすいですし、もう二人はトロトロになっているはずなので存分に喘がせられます。
感度も感情もマックスの美味しいところを書けて、イかせてあげられれば話の終わりに向かえます。
牛乳いれて混ぜるだけ、みたいなフルー◯ェ感覚でどうぞ。美味しいよねフ◯ーチェ。
なお、5000字以上になると、前座から最後までガッツリ書けます。
そうなる前提がまず必要というのなら、10000字を越えてしまってください。
朝までふたりを寝かせないのならば、センシティブシーンだけで20000字を越えたって良いでしょう。
ひたすらいちゃあま濃厚えっちで30000字を超える猛者もいます。どうぞ続いちゃって下さい。
④最終チェック
センシティブ、書き終わってチェックしたほうが良いことが3つございます。
もう読み返したくない! という方はそのまま掲載してしまっても良いのですが(何せ趣味なので!)
個人の経験から言わせていただくと、センシティブ、ノリノリで書いてしまうがゆえに事故が多いジャンルなのです。
まず、腕や足が増えます。
昆虫か? と突っ込んだこと数しれず。
虫に変身するのはグレーゴル・ザムザだけで良かとです(個人の以下略)
骨折してることもあります。
知らない間にちんちんが折れているかもしれません。
痛いのはかわいそうなので、治してあげましょう。
なんとなく、の喘ぎはありません。
こう触られたから、こう動かれたから、こんなこと言われたから思わずこぼれた可愛い声です。
耳をすまして、その声を拾い上げて口述筆記をしてください。
最後に、できたら文章の流れがスムーズかどうか、通しで読み返してみると更に良いです。一晩寝かせてから目を通すと何箇所か浮かんできたりします。
⑤掲載方法
大人の皆さんはわかっていらっしゃるとは思いますが、発表の場が多数ある分注意しなければいけないのが掲載方法です。
SNSにそのまま流すのは、パッと見でそうとわからない小説であってもNGです。
未成年の方が閲覧できないよう、間違って見てしまわないよう、必ずワンクッション挟んでください。
ピクシブやプライベッターで制限をかけて流すのが一番手軽だと、個人的には思っています。
そういうのが面倒だから本にしかしないよ! でも構いません、そのときは私の分だけでもお取り置きお願いします(きたない大人)
さいごに
いかがでしたでしょうか。
自分でも出来ていない・抜けているところもあるだろうなと思いながらも心がけていることを並べてみましたが、まずは書いてみてください。
センシティブが書ければ戦闘シーンが、スポーツしているシーンが、抵抗なく書けてきます。
逆もまた然りです。アクションが書ける人はセンシティブもイケる。
とにかくハードルを下げて書き続けていただければ、まだ見つけられていなかった二人の魅力を表現できるかも知れません。
何より読ませて下さい。お願いします。推しカプのセンシティブで助かる命がここにあるんです。
疑問・質問などありましたら、WaveBoxにでも投げていただければ、わかる範囲でお答えします。だからお願いします、書いて下さい。書いて。カイテ……