これは危険がアブナイ?(14)
今回は、前回に引き続き・・・マンション管理組合が「準撤去リニューアル」「制御リニューアル」または(もっと簡易な)「巻上機モーター&制御装置だけリニューアル」等のリニューアル仕様を選択する際の・・・3つ目のヒント「リニューアル後のメンテナンス」について、お話したいと思います。
エレベーターメンテナンス契約の種類
この話は、以前もしたような記憶があるのですが・・・復習します。
エレベーターのメンテナンス契約には、「フルメンテナンス契約」と「POG契約」の2つの仕様があります。
どちらの契約が優れている?有利?・・・ということはありませんが、分譲された新築マンションの場合は、ほとんど「フルメンテナンス契約」だと思います。(建築時にエレベータを安価に納入し「フルメンテナンス契約」で回収するというメーカーの目論見があるからかも?)
特長で考えると・・・リーズナブルな「POG契約」、保険を付保しているような安心感のある「フルメンテナンス契約」という感じかな?
昔は「準撤去リニューアル」による「エレベーターリニューアル」後も「フルメンテナンス契約」継続される事例が多かったのですが・・・
最近は「POG契約」でないとメンテナンス契約できないと申し出がある事例が増えています。(事前確認が必要なポイントです)
メンテナンス会社による分類も
エレベーターメンテナンスを請け負う会社によっても大雑把に2種類に分類できます。
1つは、(建物に設置されている)エレベーターメーカーの関連会社(子会社)が行う「メーカー系メンテナンス」・・・
もう一つはメンテナンス専門会社が行う「独立系メンテナンス」です。
これも一長一短です。超簡単にお話しすると・・・
上記のよう感じだと思います。
なお「独立系メンテナンス会社」といっても、その出自はさまざまで・・・
機械式駐車場のメンテナンス会社が「一緒にエレベーターも面倒見て欲しいと」エレベーターメンテナンス業界に進出したケースもあれば、「ダムウエイター」(=レストラン等で見かける「小荷物専用昇降機」)や「貨物用エレベーター」のメンテナンスが前身の会社もあります。
もちろん最初から「人荷用エレベーター」メンテナンスを手掛けてきた会社もあります。
また誤解されては困るので追記しますが・・・
「独立系メンテナンス会社」であっても「メーカー系メンテナンス会社」に負けず劣らずの技術力を持つ会社もたくさんあります。
「リニューアル工事」後のメンテは・・・
工事の保証期間(通常:1年間)を考えると・・・「エレベーターリニューアル工事」を請け負った会社が、工事後のエレベーターメンテナンスも担うことになりそうです。
つまり、マンション管理組合としては・・・費用面を含め・・・「エレベーターリニューアル工事」の仕様や工事予算だけでなく、その後のメンテナンス仕様や費用も含め検討しなければならない!ということです。
メンテも考えて選べ①(コスト)
仮に、全く同じ仕様の工事とメンテナンスの2社から以下の見積を取得したとします。
A社=工事費:700万円、メンテナンス費用:月額:4万円
B社=工事費:800万円、メンテナンス費用:月額:3万円
(30年後の?)次の「エレベーターリニューアル工事」まで工事した会社でメンテナンスをし続ける条件で考えると・・・明らかにB社の方がリーズナブルです。(年間メンテナンス費用で12万円差が出るので、工事代の差額100万円は9年目に回収できるため)
メンテも考えて選べ②(安心・信頼)
もちろんメンテナンス費用だけの問題ではなく、ブランド力、技術力、提案力、または安心感や信頼感も加味して選ぶべきだと思います。
管理組合が「準撤去リニューアル」を選択した場合は、工事もメンテナンスもエレベーターメーカーが請け負うことになりますから、(メンテも含めて)「安心・信頼性」に関する一定の担保は為されていると考えて良いと思います。
しかしながら「制御リニューアル」を選択した場合は、どの会社に依頼するのか?見積金額だけではなく、充分に吟味して選ぶ必要がありそうです。
独立系メンテナンス会社は、全国規模の大きな会社であっても(エレベーターメーカーのように)名前が知られていないからです。
・・・だから難しい。
その場合は、ヒアリングして直接話を聴く(例:私なら「エレベーターに詰め込まれた人を救助する場合の社内システム」を質問するかな?)だけでなく、メンテナンス体制や毎月届く点検報告書の書式や他のマンション等の事等も確認して判断するしかないでしょうね。
また「メーカーメンテナンス」では当たり前の「遠隔監視システム」が設置できる?できない?とか、設置できたとしても遠隔操作が可能かどうか?を確認する必要もありますね。
今回は、ここまでです。次回は、ちょっとマニアックなのですが、エレベーターリニューアルに伴って「建築確認申請」必要な場合を深堀します。
(つづく)