
マティスの青
新緑が美しい日に。
きらめく木漏れ日を背に受けながら───。
現在、国立新美術館で開催中の「マティス 自由なフォルム」企画展を観た。
20世紀を代表するフランスの芸術家、アンリ・マティス。
伸びやかな線とリズムが余白に踊り、
その画風は、ひとめで「ああ、マティス」とわかる、鮮やかな色彩とオリジナリティにあふれ、心惹かれる作品が多い。
今回の展示では、これまで知らなかった彫刻作品や切り絵、舞台衣装、また、建物全体を構想、デザインしたヴァンス・ロザリオ礼拝堂が再現され、マティスの世界観が存分に表現され素晴らしかった。
祈りに満ちた空間の中に広がる、泉のように湧き上がる信念と遊び心。
宇宙から舞い降りるインスピレーションに沿って、筆を走らせるマティスの姿が思い浮かぶようだ。
アーティストの作品と生涯をたどる時間は、この上なく愛おしい。
ひとりの人間が、日々という日常性を耕しながら、無限の可能性と己の信じる美へ向かって走るエネルギーを体感できるから。
会場で手にしたフォトブック『マティスを旅する』。
イエローの鮮やかさとステンドグラスの光のきらめき。アーティストの生涯を美しいページでたどれ、楽しめた。
「マティス 自由なフォルム」
今月27日まで開催。
ぜひ訪れてみてください。