寝台列車
ガタガタガタゴトゴトゴト。とてもうるさい音をたてながら走る寝台列車。
今日そこが私たちの宿だ。
最悪な環境の中、なかなか寝付けず、窓の外をぼーっとみながら座っている。
でも全然嫌じゃないな。現地の人たちは毎日この電車に乗ってどこか遠いところへ行くのだろう。
後ろを振り向くと皆んなの寝顔が見えて少しホッとする。
景色だけをみていると孤独と不安を感じてしまうからたまに隣で寝ている皆んなを、後ろの方で寝ているタイ人?何人?その人たちを眺める。
電車に乗っている時は終わりを感じる。
旅の終わり。楽しい時間の終わり。空想の終わり。終わりが来れば元の日常に戻る。
始まれば終わってしまうということを毎回実感しながら楽しいことを始める。
この旅もあと2週間ないうちに終わってしまう。
明後日には仲間の一人がインドへ行ってしまう。
少し寂しさを感じる寝台列車の中、今この時にしか感じられないことをめいいっぱい感じようと誓った。
皆んなどこへ行くのかな?会いたい人に会いに行くために乗ってる人。ただ遠くへ行きたくて乗ってる人。旅するために乗っている私たち。
向かう場所は一緒でも目的が違う乗客達が、同じ顔をしてすやすや寝ているのを見たら愛着が湧いてきた。
この瞬間だけ一人を忘れることができると思った。
蒸し蒸しする暑さに慣れてきて、その地のご飯の味にも慣れてきた頃に日本に帰る。
旅の終わりはその場所の匂いを残しながら終わってしまうから余計に寂しいな。
目的地まであと9時間。
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